民主批判の農水次官に副大臣が不満 メルマガで「許せない」
農林水産省の山田正彦副大臣は24日付の支持者らへのメールマガジンで、今年6月に民主党の農業政策を批判した井出道雄事務次官について「大臣は許しても、私は許さない」と心境を語った。赤松広隆農水相は不問に付す考えを示しているが、政策立案にかかわった副大臣は批判がよほど腹に据えかねたようだ。
副大臣は就任後、次官に「前言を撤回するのか、しないのか、はっきりさせてほしい」と迫り、撤回させたことを明らかにした上で「私の胸のうちは複雑だった」と打ち明けた。
井出次官は6月、記者会見で民主党の農家への戸別所得補償政策について「現実的でない」などと発言。農水相は就任後、次官から「献身的に支える」との意思表明があったとして、続投を容認。副大臣はこれに不満げな様子ながらも、農水相の判断には今後も従っていく方針だ。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090924/biz0909241633012-n1.htm
山田正彦副大臣がお怒りの井出道雄事務次官の実際の発言です。
井出農林水産事務次官記者会見概要
<略>
記者
次官の先週の会見で、民主党の農政について、次官は、お勉強されていらっしゃるということだったのですが、そのお勉強された結果、評価なり、分析というのはいかがですか。
次官
民主党の農政といっても、相当、農政の分野というのは幅広いわけですけれども、現在、俎上に上っていますのは、本年の1月20日に、民主党が国会に提出されました、いわゆる農業者の戸別所得補償制度の創設を含む法律案(第171回国会提出、(衆)法第2号「農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案」)ということであろうと思います。この法律案について申し上げれば、大臣も申し上げておりますが、大きく言って4つ問題点があるかなと思います。
一つは、この法律の第5条に、この法律の施行後四年を目途として必要な措置は段階的に講ずる、と書いてあります。今の農林水産業、特に農業、それから、農山漁村の状況を見ますと、この「四年を目途」というのは、ちょっとスピード感が少し足りないのかなという感じがいたします。
それから、戸別所得補償制度本体では、これも言われておることですが、16条で、コメ以外の麦や大豆や畜産物につきましても、行政が生産数量の目標を決めるというふうにされておりまして、この目標に従って生産する農家に、所得補償をすると書かれております。ご承知のように、今、議論になっておりますコメの生産調整でも、その事務処理が、ものすごい大変だということで、自治体や農業団体が悲鳴を上げておるのが現状ですから、コメ以外の多くの農畜産物について、こういったやり方を拡大して実施するということは、現実的ではないのではないかと思います。
また、三つ目は、この目標数量の設定に当たりまして、同じ16条に、行政は毎年、農業者の意向を踏まえて決めると書いてあります。やっぱり、今は、消費者ニーズがどれくらいあるか、需要がどのぐらいあるかということを起点にものを考えないと、作ったけれども余っちゃいました、というのでは、まずいのではないかなと。そういう点で、農業者の意向だけを踏まえるというのは、いかがなのかな、という感じもいたします。
最後の四点目ですが、6条で、食料自給率の目標として、施行日の属する年度から10年度を経過した年度、つまり、10年後は、50パーセント、更に10年を経過した20年後は、60パーセントに達するようにすると、はっきり書かれてあります。
ただ、この法律には、それを達成する手段とか、そういうものが具体的に表現されておりませんから、果たして、50、60という数字を掲げても、それが実現可能性があるのかどうかというのは、検証できないまま、目標だけが一人歩きするということになりはしないかと思っておりまして、大きく言うと、今申し上げた四点ぐらい、どうなのかな、という疑問を持っておりますけれども。
記者
なんか、すごい悪い感じがして・・・。
次官
いや、悪い感じというのではなくて。
記者
中途半端ですか。
次官
なんでも、制度を作ったり、何かする時に、あらゆる方向から見て100点満点というのは、なかなか、私たちが作ったって、なかなか作れないのですけれども。
ただ、今の農業とか、農山漁村の状況で「待ったなしだね」、という認識からするとどうかとか、あるいは、政策手段として果たして本当に機能するだろうかとか、そういった実務的、あるいは現在の農業とか、農山漁村の状況に照らして、最も適切な手段であるかどうかということで申し上げたわけで、決して、一から十まで駄目だと申し上げているわけではありません。
記者
逆に、民主党の農政の中で、ここは評価できるなというふうに思われる点とかはございますか。
次官
国会での議論も、今申し上げた法律を巡って議論がされておって、それ以外のところについては、何と言いますか、スローガン的な、数行のコメントがなされているだけですから、その中身については、定かでない点が多いと思うのです。ですから、その点について評価できるか、評価できないかというのをコメントするのは、難しいと思います。
記者
農地法の関係で、民主党との修正で、役員の一人が従事することとか、いくつか条件がついて、終盤では外資規制みたいな話もあったと思うのですけれども、そういう議論を経て、もともと目指していた姿との違いというか、より緩和するということではなくなったのだと思うのですけれども、その辺については、どういうふうに思ってらっしゃるのですか。
次官
役員の一人が農業に従事するということを書くということは、外形的にいうと、何か範囲がすごく狭くなったように見えるのですが、もともと農業ですから、全員が東京におられて、現場には誰一人いなくて、雇った人だけが、農場へ行くと働いていると、そういう形態というのを期待するとか、そういうことには無理があるのではないかなと思います。
ですから、やっぱり役員の中で、現場にいて、現場を見て、何を作付けるかとか、あるいは何を今、収穫するかとか、今収穫したらどのくらい収入が上がるのかとか、そういうことを確認をするというのは、おそらく企業が参入する場合でも、不可欠だと思うのです。ですから、そういう点では、ああいう修正をしたからといって実害が出るというふうには、私どもは考えていないのです。
記者
民主党の農政の件なのですけれども、秋までに衆院選があって、仮に政権交代があった場合に、実際に政策を、農水省と、役所と民主党で作ることになると思うのですけれども、そうなった場合、今挙げられた4つの問題点というのは、改善というか、うまく修正すれば機能するようなものになるとお考えですか。
次官
それは、法律をお作りになっていらっしゃる側が、「どこだけは外せない」と、こういうふうにお考えか、あるいは、これは、技術的な問題なので、議論していったら、「君の言う方が、やりやすかろう」とか、「現場の実態に合ってるだろう」というふうに思っていただけるか。
また、我々も説明を子細に聞いた上で、「なるほど、そういう意味だったのですか、それなら、分かります。」と、こう言えるかどうかというのは、かなり実務的に双方が詰めた議論をしないと、分からない点が多いと思うのです。
ただ、何しろ、気持ちとしては、今のままでいいわけないと、何とか変えて、農業、農山漁村を元気にしたいという思いは、一緒のはずでありますので、技術的なことであれば、議論をする中で収束するところは見出していけると思いますが、ただ、やはり、どうしてもそこだけが言われてしまうと、今まで我が省がやってきた農政とはラインが全然違うということになってしまう可能性もありますね。
記者
民主党の関係なのですけれども、民主党の方が政権交代を前提にして省庁の幹部と意見交換するような機会を求めているやに聞いておりますけれども、それについての御所見というのはいかがでしょうか。
次官
今でも、民主党のPT(プロジェクトチーム)とか、部門会議とか、呼ばれれば、我が省の幹部は、当然出かけて議論をさせていただいていますから、何かこと改めて、大上段に振りかぶって、国会の党首討論みたいな、そういうことをやらないと物事が進まないとか、あるいは意見の擦り合わせができないとか、いうことではないと思うのです。
ですから、民主党の方も、最近では非常に頻繁に、そういう議論の場を設営されていまして、我が省の幹部も頻繁に出向いて、こちら側の考えとか、構想とかを申し上げて、ある意味で、どこが違って、どこは実は一緒なのかというようなことは、既にやっていると思いますので、だから、こと改めて、そういう場を設営して、「みんな寄って来い」ということを、わざとやる必要もないのではないかなと思います。
民主のほうが、小学生レベルの駄々を捏ねているだけに見える件