いまだに続く台湾番組への抗議 NHKは亡国のメディアか?
東京の大久保にあるお気に入りの台湾家庭料理の店にいったとき、そこで客の台湾人らと昨今の日台関係について議論になった。ある民進党支持者の台湾人企業家はいう。「日本は台湾を見捨てようとしているのか。あの番組をみればそういう気がする」。あの番組とは、NHKのシリーズ「JAPANデビュー」の第一回「アジアの“一等国”」である。
いまさら説明の必要もないだろうが、台湾が日本統治を受けた歴史のネガティブ面を特集したこの番組は、4月5日の放映日以来、親台湾の日本人や親日本の台湾人から「偏向報道」「捏造報道」「意図的に日台関係を悪化させるために作られた番組」と抗議の声が上がっている。その抗議の声は日増しに大きくなり、先日は自民党の国会議員ら60人以上があつまって「公共放送のあり方について考える議員の会」も発足。番組が放送法第3 条の2(政治的公平、事実をまげない報道など)に違反していないかを検討するという。
この番組は私も見た。確かにNHKらしい自虐史観が根底にながれ、意図的なインタビューのカットや事実誤認もちらほら。ただ、放送局の編集権の自由を大きく逸脱するほど政治的不公平かというと、このくらいのインタビューの刈り込みや脚色、イデオロギー色はこれまでのNHK番組にも多々あった。ただ、テーマが台湾であったということが、放送日から2カ月以上もたって今なお激しい抗議の声が上がっているが理由ではないかと思う。
今、台湾は中国に事実上、併呑されかけている危機的状況が背景にある。親中国の馬英九(=写真)政権になってから、李登輝、陳水扁ら両氏が少しずつはぐくんできた台湾人アイデンティティと独立への期待がみるみるしぼんできた。関税撤廃を軸とした経済協力枠組み協定(ECFA)が調印されれば経済的にはほとんど統合されるようなものだ。今年8月には、福建省アモイから台湾・金門島までの遠泳大会という平和イベントを理由に、台湾側の軍事防護策が一時撤去されるという。馬総統が2012年に再選されれば、台湾海峡が事実上中国の支配下に置かれる、というのは冗談ではないかもしれない。
自由と自立を望む台湾人にとっても、日本の安全保障の観点からも、この流れはなんとか食い止めたいのだが、今の米国には中国に抵抗できる余裕がない。せめて日本が台湾との経済的結び付きを強化するなどして、台湾の中国依存度を減少させてほしいと民進党などは期待している。そういう中でNHKが日本の親台湾世論に冷水をかけたわけだ。
媚中派と呼ばれるNHKが中国からなんらかの利益供与をうけて、日本人の対台湾世論の操作を請け負った、などと陰謀論を言うつもりはない。しかし台湾については、単に表現の自由で片づけられない、日本の安全保障と台湾の未来という切実な問題が絡むということを知っていてこの番組を作ったなら、「公共放送」の皮を被った亡国のメディアといわれても仕方ないだろう。(執筆:中国ウォッチャー 三河さつき)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0622&f=column_0622_003.shtml
>放送局の編集権の自由を大きく逸脱するほど政治的不公平かというと、このくらいのインタビューの刈り込みや脚色、イデオロギー色はこれまでのNHK番組にも多々あった。
これは私も思った。
(それが良い事か悪い事かは別として)今まで、このレベルならOKとされてきてる。
これを崩すのは正直大変。
これだけ騒ぎになるのはNHKも想定外だったろうけれど。