景気対策の切り札か禁じ手か?「政府紙幣」に異論反論のワケ
「景気対策の財源として政府紙幣を発行すべきだ」という声が最近あちこちから上がっている。先日も自民党有志の議員連盟が政府紙幣の発行などを麻生さんに提言。これを受けて麻生さんも検討する姿勢をみせているという。
この「政府紙幣」とは、中央銀行である日本銀行ではなく政府が直接発行する紙幣のこと。一万円や千円札などの紙幣は「日本銀行券」といって、その名前のとおり、日銀が発行している。一方、10円や100円玉などのコインは政府の発行。それと同じように、紙幣も日銀ではなく政府が発行してしまおうというわけで、その狙いはおもにふたつ。ひとつは、日本国内に出回る通貨量を増やすことでデフレを緩和すること。もうひとつは、国債の新規発行をせずに(国の借金を増やさずに)景気対策の財源にできること。国の借金はすでに800兆円以上もあり、従来のように国債の発行を景気対策の財源にしていたら国の財政が破たんするかもしれない。そこで政府自身が紙幣を発行し、借金を増やさずに減税などの景気対策に活用しようということらしいのだ。
なんだかできすぎた話だが、もちろん政府紙幣にも問題があったりする。まず、政府がやたらと紙幣を発行すれば通貨が信用を失ってハイパーインフレを招く可能性がある。政府紙幣は過去に何度か発行されているが、明治維新直後の「太政官札」はやはりインフレを招いたため、その後、流通が禁止されたというのが定説なのだ。また、ATMや自販機などインフラの対応もあるし、何十兆円もの紙幣をどうやって偏りなく流通させるのかというのもむずかしい問題。なにより、貨幣法や日銀法をはじめ、政府紙幣の導入にはかなりの法改正が必要なのである。
もともと政府紙幣の発行は、デフレ不況下の2000年前後から一部の経済学者が提言していたものの、実現しなかったという経緯がある。それが最近の経済危機で論議が再燃したわけだが、いい悪いはべつとして、インパクトの強い話はそのぶんハードルも高かったりするのである。
R25の記事は古館並の馬鹿記事ばかりで毎度毎度イライラする。
まずこの記事の間違いは。自民党有志の議員連盟が出した政府紙幣とは、通貨が2種類に増えるわけではない、ということ。
「政府が、額面20兆円とか書かれた紙切れを、日銀に買い取らせる」
要は、国債の日銀買い取りみたいなもの。
日銀が景気対策になかなか動かないものだから、強引にやらせようという作戦。
日銀がただの紙切れに(たとえば)20兆円分の紙幣(これも紙切れと言えば紙切れ)を支払ってくれれば、政府は(一時的にしろ)財政に余裕が出来、それを円が足りない市場に流せば景気回復するという仕掛け。
この時点で、「政府がやたらと紙幣を発行する」のとは、ちょっと違うと分かると思う。
もうひとつ。よく言われる事だが
>国の借金はすでに800兆円以上
これ自身は問題ではない。
三橋さんなんかが繰り返し言っているが、国の借金はほとんどが国民の債権で、日本国内の中で、金を持っているの国か国民かと言うだけの話。
800兆円のほとんどは、国内のどこかにあるというわけ。
その上日本は外債も多いので、どっちかというと借金持ちと言うより金持ちだと思う。
>ハイパーインフレを招く可能性
どのレベルをハイパーと呼んでいるのかは知らないが、今の日本がデフレ状態なのに、インフレにはなってもジンバブエのようなハイパーインフレになるわけがない。
ただこの手のコントロールは難しいので、うっかり想定以上のインフレになる可能性はあると思う。
微インフレ程度が一番経済成長にはいいらしいので、上手にコントロールできればいいけれれど、机上の論理と現実は違ったりするからなあ。
それと国民が、安易「不景気になったら輪転機回せばいいジャン」なんて思うようになったら、それはそれで困りもの。
記事でもあげつらわれている「太政官札」だが、実際にはさほどインフレになったわけでも無いらしい。2倍とかにはならなかったはずですが、正確なことは知らないので誰か調べて(w
太政官札(だじょうかんさつ)については、
http://www.findai.com/yogo/0013.htm
このあたりが思想に寄らない解説かと。
明治維新後、日本では江戸時代の金本位制の通貨(金と交換出来るお金、お米券の金版みたいなもの)と、それまで発行されたことのなかった「信用貨幣」の2種類があり、かなり混乱したらしい。
今使われている日本銀行券が「信用貨幣」ですね。
紙切れに数字印刷して、その価値を政府の信用で担保している。
それまで流通してこなかった「信用貨幣」を出来たばかりの政府が発行するんだから、そら混乱する罠。
だからその混乱とインフレの話は別。そしてたぶん、インフレはそれほど起こってない。
第一日銀がまだ出来ていない時代、政府が紙幣発行するしかないじゃん。
つーかさ、素人に簡単につっこまれるような記事書くなよ。