<ギリシャ>理由もなく暴れる若者 アテネ暴動6日目
【アテネ藤原章生】普段は観光客でにぎわうギリシャの首都アテネは11日、政府に対する抗議行動が6日目を迎えた。銀行や新車販売店が放火された通りはきな臭いにおいが残り、歩道にはガラスの破片が散らばる。同夜始まったデモ行進は、半時間もしないうちに投石や火炎瓶による暴動に変わった。6日の少年射殺事件がきっかけだが、際立った理由もなく暴れたい若者がデモを乗っ取っている。
「理由なき革命というのか、こんなことは初めてだ」。中心街のオモニア広場に近い新聞社「アポキフマティニ」のマキス・デリペトロス編集次長(48)は疲れ切っていた。暴動発生以来、社屋が3度も暴徒に襲われたためだ。
毎日続くデモには、インターネット情報で学生、労働者に加え、アナキスト(無政府主義者)と呼ばれる若者が集まり、無秩序な固まりとなる。「何かを要求すれば政権も応えようがあるが、スローガンなしに暴力に走る」
午後6時(日本時間12日午前1時)、アテネ大学前には、若者を中心に約1000人が集まっていた。1時間後に始まったデモ行進は街の中心を1周すると、列の後ろの参加者が銀行前や国会議事堂前にいる警官に投石し始め、混乱状態になった。
「我々は政権退陣を求めるデモをしに来たんだ」。そう語るアテネ大のマリオさん(22)らは暴徒を押しとどめようとするが、らちがあかない。高級レストランの前で、暴徒は強化ガラスをたたき「いい物食いやがって」などと叫ぶ。客たちが奥に逃げていく。
「1日9時間働いて月700ユーロ(約8万5000円)。暴動の原因は貧しい若者の怒りだ」。毎日来ているというアントニーさん(30)はヘルメットをかぶり、ポケットの石を見せた。
世界経済危機で先の見通しは暗く、国営企業の合理化で失職者も多い。「具体的に何をという事を言えなくても、若者たちは漠然と未来を恐れている」。デモを見に来たナイトクラブ店員、タキスさん(63)は「彼らの暗さはギリシャだけの問題じゃないと思う。この世代が何を恐れているのか、くみ取る必要がある」と話した。
そのエネルギーをほかの事に使ってみてはどうだろう。