「縁故」うわさ絶えず/県教委試験見直しへ
小学校教員の採用を巡る贈収賄事件は22日で、発覚から1週間がすぎた。県教委幹部や現職の学校長など逮捕者4人全員が教職者だっただけに、教員同士のなれ合い体質への批判は強い。教員採用試験を巡っては以前から、「縁故採用」「身内有利」といったうわさが絶えず、この一端を裏付ける事件との指摘もある。県教委は疑惑払拭(ふっ・しょく)へ採用試験見直しの検討を始めた。
教員採用を巡っては以前から「縁故採用」や「身内有利」といったうわさが絶えなかった。福岡市内の教員養成予備校の代表は「大分は九州の中でも不透明な採用が多かった」という。「成績が優秀なのに3、4回受験しても合格せず、一方で、成績が悪くても両親が教員だった生徒は一発で合格するケースもあった」と打ち明ける。
今回の事件を受け、県教委は面接の回数や面接官を増やすなど、教員採用試験システムの再検討を早々と表明した。だが、それで不正がなくなるのか、疑問視する声は少なくない。20日の県議会文教警察委員会でも、委員から「事実解明に消極的だ」「身内のなれ合い体質はシステムを変えてもなくならない」と厳しい批判が相次いだ。
身内意識の強さは「制度上の問題」という指摘もある。同じ公務員でも、県や県警は県人事委員会が試験を実施し、試験問題の作成も外部に委託している。だが、教員採用は教育公務員特例法で、任命権者の教育長が行うと定められ、問題の作成や採点、集計などをすべて県教委だけで行っている。
ある県警幹部は「試験から採用、人事までが内部で完結してしまうシステムこそが、身内意識やなれ合いを強め、不正の温床になっているのではないか」と話している。
◆県教委 児童の心のケア急ぐ
事件発覚以来、県教委や佐伯市教委は子どもたちの心のケアや保護者への説明などの対応に追われた。
現職の校長と教頭が逮捕された蒲江、重岡の両小学校はともに逮捕翌日の15日夜、保護者を集めて緊急の説明会を開いた。保護者からは「事件の詳細がわかれば、また説明をしてほしい」などの要望が出たが、大きな混乱はなかったという。
市教委も同日、臨時校長会を開き、両小学校を除く全45小中学校の校長に事件の説明と服務規程の厳守を訴えた。
県教委は18日、両小学校の教員や児童の不安を解消するため、2校に1人ずつスクールカウンセラーを派遣した。ただ、今のところは児童から具体的な相談は寄せられていないという。
重岡小では同日、教頭の逮捕で延期されていた校内行事の田植えをしたが、子どもたちは笑顔で楽しんでいたという。山城豊校長は「今のところ子どもたちに影響は出ておらず、その点についてはほっとしている」と話した。
◆事件の経緯
今回の汚職事件では、収賄容疑で県教委義務教育課参事の江藤勝由(52)、贈賄容疑で佐伯市立蒲江小学校長の浅利幾美(52)、同課参事の矢野哲郎(52)と妻で同市立重岡小教頭のかおる(50)の4容疑者が逮捕された。全員が容疑を認めているという。
県警などによると、浅利容疑者は試験に2度失敗した長男(25)と長女(22)を08年度の教員採用試験に合格させる見返りとして昨年8、10月の2回、江藤容疑者に現金や商品券計400万円相当を渡した疑いがもたれている。
江藤容疑者は当時、人事班の課長補佐を務め、採用試験事務を担当。矢野夫妻は江藤容疑者との間を仲介し、浅利容疑者に現金を渡すことを助言したり、授受の場にも同席したりしていたという。
これまでの調べで、江藤容疑者は長男を合格させるため、試験で便宜を図ったことが判明。一方で、矢野容疑者が「子ども1人を合格させるのに200万円が相場」「1人ならなんとかなる」などと助言していたことから、県警は不正の常態化を疑わせる発言として注目している。
http://mytown.asahi.com/oita/news.php?k_id=45000000806230005
縁故採用ばかりしているから、教員の質が上がらないんだ。