追悼より聖火!福建省笑顔のリレーに中国国内で批判の嵐
中国の四川大地震による犠牲者は、13日までに1万2000人に達した。また2万3000人が生き埋めになっており、死傷者はさらに増えるとみられている。一方、中国国内では北京五輪聖火リレーの続行に対して批判が殺到。インターネット掲示板には「お祭り騒ぎをしている場合ではない」などの書き込みがあふれている。聖火は6月15~18日に被災地の四川省を通る予定。しかし、五輪組織委員会は「今のところ地震によるルートの計画変更はない」としている。
「我々には良心のかけらもないのか」。ついに中国国内からも、聖火リレーへのブーイングが噴出した。多くのネット掲示板に「聖火リレーを中止すべき」「五輪開会式を取りやめろ」などの書き込みが相次いでいる。
地震から一夜明けた13日も聖火リレーは、福建省竜岩で予定通り実施された。第1走者のシドニー五輪重量挙げ銅メダリスト・張湘祥さんは、「リレーが被災者に元気をもたらすように」と語ったものの、スタート時に黙とうなど犠牲者を悼む行事は一切なし。リレーの出発式には約3万人の市民が集まり、大地震の救助活動とは対照的な盛り上がりを見せた。
この“KY”な光景にネットでは「笑顔を浮かべる走者の姿は見ていられない」「聖火リレーをやめて、節約したお金を被災地に送り救援活動に回すべきだ」などと、リレーの続行に反発する声が集まった。
今月2日から始まったリレー国内ルートは、31の直轄市、省、自治区のすべてを回ることが売り物。月末には犠牲者の出ている湖北省に入り、来月15~18日は、数千人が死亡したとされる綿陽や成都など四川省内の7都市を回る予定だ。
日本に住む成都出身の中国人女性によると「成都にいる家族は、公園で車中に避難している。現地では、水とまんじゅうの奪い合いにもなっている。『五輪どころじゃない』との声が上がっている」という。
今後の聖火リレーについて、五輪組織委員会の広報担当者は「現段階では予定通り行う方針。中央政府から(計画変更の)通知は届いていない」と説明した。さらに治安担当チーム関係者は「聖火が復興の象徴になることで、チベット問題による影の部分が薄まる効果もある」と冷徹な見方も漏らしている。
一方で、中国外務省の秦剛副報道局長は、四川省での聖火リレーについて「組織委が災害状況を調べており、適切な時期に決定する」とルート変更の可能性にも言及。四川省などでは走者に被災者を加える案も浮上しているという。
◆四川省 中国西南部の内陸に位置する、人口約8722万人の国内3位の省。省都は成都市で震源地のアバ・チベット族チャン族自治州★川県は成都の北西約90キロに位置する。西部はチベット自治区と隣接。ジャイアントパンダの故郷としても有名で、省北部の山間部に保護区が点在。北部にある石灰成分が沼底に沈殿した湖水地帯の九寨溝(きゅうさいこう)の渓谷の景観が観光名所で、ユネスコの世界遺産にも登録されている。香辛料を効かせた四川料理は郷土料理で「中国4大料理」の1つにも数えられ、マーボー豆腐の本場でもある。
【注】★はサンズイに文
「愛国心で震災支援を」も…中国国内から五輪自粛の声
北京五輪開催に中国国内から自粛を求める声も挙がっている。これに対し、北京五輪組織委は「聖火リレーの愛国心で震災支援を!」と呼び掛けながら規模を縮小した形でリレー続行を決定。14日午前も江西省瑞金市で、開催前に黙祷をささげる形でリレーが開催された。
「北京五輪? この天災の後でどうやって五輪を祝える気分になれるんだ」。被害が激しい綿陽市北川県に入った産経新聞の記者に、兄が行方不明のままという被災者男性(29)が口にした言葉だ。
≪被災者に黙祷し、五輪をやめよう≫≪聖火リレーを節約し、その分を被災地の再建に使おう≫と、インターネットでも五輪自粛を求める意見も上がった。
だが、≪被災地に聖火が行けば、被災者が勇気づけられる≫との声も圧倒的に多い。「リレー反対」の書き込みが当局の意向をくんだ管理者から削除されたためか、大手サイトの意見欄は「続行」を求める声だけが連なるいびつな形となっている。
http://www.zakzak.co.jp/top/2008_05/t2008051430_all.html
青いのは、聖火なんか守ってないで、国民を守った方がいいと思う。