<年金記録>2025万件特定困難 50万件増え全体の4割
社会保険庁は14日午前の年金記録問題に関する関係閣僚会議で、照合を終えた宙に浮く5095万件の年金記録に関し、14日現在の分析結果を報告した。昨年12月時点で1975万件だった持ち主の早期特定が困難な「今後解明を進める記録」は50万件増え、全体の39.7%、2025万件に膨らんだ。
「08年3月までに照合を完了し、持ち主と想定される人への通知を終える」とした政府公約をめぐり、舛添要一厚生労働相は14日午前の閣議後会見で「きちんと守れた」と胸を張った。だが、分析によって持ち主特定が難しい記録が増えた皮肉な結果に対し、「公約違反」との批判がわき起こるのは必至だ。
昨年12月に「今後解明を進める」としていた1975万件は(1)結婚などで氏名変更(2)氏名などの入力ミス(3)漢字の変換間違い――などの記録。生年月日がずれていても同一人と判定できるソフトを使った2次照合などにより、260万件減の1715万件に減った。
ところが、12月時点で470万件あった氏名の欠落した記録の修復を進めたところ、464万件は氏名を復元できたものの、古い記録が多く、304万件は持ち主にたどり着けなかった。
名無し記録について社保庁は「氏名の修復で持ち主も分かる」として「今後解明を進める記録」に分類していなかった。しかし、氏名が修復できなかった6万件、持ち主不明の304万件は特定が難しく、持ち主特定が難しいと位置づけざるを得なかった。
社保庁は、2025万件を住民基本台帳ネットワークシステムと照合して持ち主の生死や住所を突き止めたり、手書きの年金記録との突き合わせによる入力ミスの修正などで持ち主探しを進める。しかし、長期間を要するうえ、最後まで誰のものか分からない記録も相当数に上りそうだ。
一方、12月時点で1100万件だった持ち主を特定できる可能性がある記録は72万件増の1172万件となった。これらの記録の持ち主と想定される1030万人に21日までに順次ねんきん特別便を送る。
<年金記録>解説 公約履行に程遠く
政府・与党が昨年7月5日に打ち出し、参院選の公約となった年金記録漏れ問題の対策は、(1)今年3月までに「迷子」の5000万件と、持ち主が分かっている記録の照合完了(2)新たな記録の持ち主らしき人への通知――に過ぎない。
自民党参院政審会長として対策にかかわった舛添要一厚生労働相が「3月までに全部片付けるとは言っていない」と言うように、厳密な意味で公約違反を問うのは難しいかもしれない。だが、政府・与党が当時発した「バラ色の言辞」に対し、国民の多くは「3月末の解決」と受け止めたのは事実で、為政者との意識の落差はあまりに大きい。
与党内には当時から作業の難航を危惧(きぐ)する声はあった。
しかし、安倍晋三首相(当時)は参院選の劣勢挽回(ばんかい)のため、「最後の一人まですべて記録をチェックし、年金をお支払いする。そのために政府は3月までに突き合わせを行う」と、3月には5000万件すべての持ち主が分かるかのように胸を張った。与党もビラなどで早期解決を約束、多くの候補者は「3月には解消する」と問題を矮小(わいしょう)化するような訴えを繰り返した。
しかし、約4割にあたる2025万件は依然迷子のまま、基礎年金番号に統合できたのは417万件(8・2%)という状況は、公約履行に程遠い。参院選比例代表でトップ当選した舛添氏は昨年末になって「3月にはバラ色の解決という誤解を有権者に与えた」と非を認めたものの、その一方で14日も「公約違反でない」と開き直り、姑息(こそく)だ。
記録漏れをめぐっては、持ち主が特定されている2.5億件にも保険料を納めたはずなのに未納にされた「消えた年金」が相当数あるとみられ、年金不信払しょくに向けた道のりは険しい。政府は今秋、年金制度改革のための消費税増税を議論したい考えだが、記録管理という基本をずさんにしたまま負担増を強いるのでは、国民のしっぺ返しをくらうだろう。
http://www.excite.co.jp/News/society/20080314122500/20080314E40.057.html
むしろ逆に半分以上も判明した事に驚いているんだが。もっと時間がかかると思った。