社説:ギョーザ事件捜査 「日中協力」はお題目か
事件発覚から1カ月が過ぎたというのに、真相解明への見通しが立たないとはどうしたことか。中国製冷凍ギョーザによる中毒事件の捜査は、袋小路に入る可能性も出てきたのである。
背景には、日中双方の捜査当局の見解が対立していることが挙げられる。それも、「緊密な連携」を確認した直後のことだけに、双方の当局には不信感さえ漂う。しかし製造元が中国、発生場所は日本であることを考えれば、日中の協力がなければ事件が解決に向かわないことは論をまたない。
5日開幕した第11期全国人民代表大会(全人代=国会)で中国の温家宝首相は、「食の安全」対策を強化する姿勢を強調した。ギョーザ事件に直接言及しなかったものの、北京五輪を8月に控え、事件を強く意識したのは間違いない。
しかしながら中国製食品に対する信頼回復は、事件の解決なくしてあり得ないこともまた、事実なのだ。そのことを、もっと重く受け止めるべきだろう。
日中双方とも「人為的な事件」との見方では一致している。つまり何者かがメタミドホスなどの有機リン系殺虫剤を、どこかで混入させた疑いが濃厚ということだ。
問題は、肝心の混入場所が「どこか」である。「日本国内で混入した可能性は低い」とする警察庁に対し、中国公安省は記者会見を開き「中国で混入された可能性は極めて低い」と強く反論した。製造元である河北省石家壮市の「天洋食品」の従業員への事情聴取でも、現時点で疑わしい人物は見つかっていないという。
まさに180度異なる見解である。一時は「早期解決」をにおわせる報道もあっただけに、一気に五里霧中に陥った感が強い。
しかし双方の見解を検証することは、そう難しいことではない。混入場所を判断する大きな根拠となった科学的データをお互いに交換すれば、おのずから答えは出るはずだ。
密封されたギョーザの袋の外から、メタミドホスが浸透する可能性の有無のことである。「ない」とする日本に対し、中国側は「ある」との実験データを得たという。
そうであれば、データの提供を拒む理由はどこにもない。それぞれ異なる条件での実験であり、捜査上の大きな材料になることは間違いない。早急にデータを提供し合うことから始めなければならない。
事件の影響は多岐にわたり、いよいよ深刻化してきた。中国製食品の売り上げは減少しているが、食の安全性を第一に考える日本の消費者心理からすれば、致し方あるまい。
捜査当局の対立は政治面にも波及してきた。胡錦濤国家主席の来日も、当初の4月から5月へ延期する方向で日中両政府が調整に入ったが、対立から得るものは何もない。
日中が協力して事件を解決すれば、今後に向けてのモデルケースになり得る。五歳の女児を含む10人が中毒に苦しんだ事実を重く考えれば、ここは一つメンツや思惑など捨て去り、「大同団結」の心構えで臨むべきではないか。
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20080306az
何馬鹿な事言ってるんだ。お題目に決まってるじゃないか。