リニア新幹線 国の協力も欠かせない
JR東海は中央リニア新幹線を全額自己負担を前提に建設する意向を発表した。資金・技術面で多くの困難が予想される。同社の意気込みは貴重だが、資金以外の面では国の協力も欠かせない。
首都圏と名古屋圏を結び、二〇二五年までに完成を目指すこの計画に対し、JR東海は必要な建設費を総額五兆一千億円と試算している。
東海道新幹線を抱えた同社の経営は、現状でこそ売上高一兆五千億円、純利益千四百億円程度と絶好調だが、この巨額な建設費を単独で調達するのは容易ではない。
単独での建設を発表した翌日の株式市場で、同社の株価は年初来の安値を割り込む急落をし、株主の不安が早くも表面化した。
本来、国家プロジェクトとして行うべき規模の事業に一企業で取り組んで、計画通りに進まなければ企業の屋台骨が揺らぐことにもなりかねない。
その危険を冒してまでも同社が、単独建設を打ち出したのは、完成目標を見据えた時間との競争があるためだ。早期着工に消極的な国の決断をうながし、支援を引き出すための捨て身の戦法ともいえよう。
完成目標は東海道新幹線が開業後、約六十年がたち、本格的補修工事が必要になる時期である。安全を確保しつつ膨大な輸送量をこなしながら補修工事を行うためには、バイパスとなるリニア建設が不可欠だ。
松本正之社長は記者会見で「国の財源に依存していては(整備が)ずっと遅くなる」と、追いつめられた状況を説明した。
現状でも新幹線は、輸送能力の限界に近い状態に達しており、東海地震のような災害を考慮するとバイパス確保は急務といえよう。
〇五年には国土交通省の評価委員会が「実用化の基礎技術が確立した」とお墨付きを出している。
しかし、建設予定コースは中央地溝帯など複雑な地形を持つ中部山岳地帯を大深度トンネルを多用して横切る難工事が予想されている。
車体浮上に必要な超電導磁石の乗客への影響など解決すべき技術課題は山積みだ。
環境問題や沿線に与えるリニアの社会的影響の大きさなどを考えると国の協力なしで計画実現は至難の業ともいえる。海上の中部国際空港も民営ではあるが国や地元自治体の協力で実現した基盤整備の成功例だ。
JR東海の単独着工の意気込みは評価するとしても、今後は国やJR各社などにも協力を呼び掛けて国民的な支持を生み出すような努力も必要だろう。
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2007122702075332.html
実は山梨の実験線に乗った事がある。
磁石の影響があるとは感じなかったが、思ったより音は大きかったなあ。
もっと静かだと思っていた。
距離は短かったが、確かに浮き上がる感じが体感できて面白かった覚えがある。