年金記録問題/期待した国民が悪いのか
まるで、国民が一方的に誤解したと言っているようなものではないか。全面解決が難しくなった年金記録問題についての政府の釈明には、あぜんとするほかない。
納付者が分からない年金記録が、なんと五千万件にのぼる。あまりにずさんな事務処理に国民は驚き、憤ったが、「来年三月までに名寄せ(照合)を完了する」「最後の一人、最後の一円まで支払う」という言葉を信じるほかなかった。
ところが、舛添厚労相はおととい、全体の二割近い約九百四十五万件が基礎年金番号への統合が困難で、「宙に浮いた」ままになる可能性があることを明らかにした。「最後の一人まで」どころではない。
その際、舛添氏は「来年三月までにすべての問題を解決するとは言っていない」と補足した。町村官房長官も「名寄せ作業で五千万件すべての行き先を確定すると説明したつもりはない」と述べている。
耳をうたぐった人は多いだろう。「公約違反ではない」と言いたいようだが、二人とも経緯をお忘れなのか。
参院選を前に問題が大きくなると、当時の安倍首相は対策を急がせ、「すべて記録をチェックし、まじめに保険料を払っていただいた方々に正しく年金をお支払いする」と強調した。自民党の選挙公約は「一年以内にすべての名寄せを完了するなど、直ちに徹底的に精査をする」と記している。
こうした訴えを繰り返し聞かされれば、国民が早期解決への期待を抱くのは当たり前だろう。いまになって、「そんなつもりではなかった」で済むはずはない。
「『解決する』と言ったかな」などと話す福田首相の反応も理解しがたい。この問題は、安倍氏から引き継いだ政権として、最優先で取り組むべき課題である。
統合作業は簡単ではないという指摘は、当初から出ていた。案の定、急ごしらえの計画がほころび、期待に沿えなくなってしまう。そうした見通しの甘さを国民にわびることが先決ではないか。その上で、今後の方策を明確に示すことである。
それにしても、政治家の言葉がなんと軽くなってしまったことか。とりわけ、選挙の公約がこうも安易に扱われる現状には、あらためて暗然とする思いだ。
「選挙だから、ある程度簡素化して言ってしまったところがある」などという官房長官の弁明からは、言葉の重みに対する十分な自覚が伝わってこない。
引き続き、問題解決への努力を重ねるのは当然である。同時に、政治家として口にしたことへの責任を再認識することだ。
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0000769059.shtml
> まるで、国民が一方的に誤解したと言っているようなものではないか。
いや、実際そのとおりなんだけど。
民主党が選挙違反だとか意味不明なことを言っていたあの広報にも、その事は書いてあったし?