「孤立無援」とはこのことだろう。小泉・安倍と二代にわたる政府の行政改革路線を福田政権下でも継承すべく独立行政法人の整理合理化計画の取りまとめを急いでいる渡辺行政改革担当相の姿だ
▼各省との個別討議に入ると担当大臣はけんもほろろ。「とりつく島」がないどころか、すがりつくワラすらない様相だ。安倍さんの肝いりでさっそうと登場した渡辺さんは、外務、大蔵大臣などを歴任した父親の故渡辺美智雄氏譲りのバイタリティを持ち、その「元気」が見込まれてこの汚れ役を引き受けたまではよかったが、その後がよろしくない
▼安倍さんは本気で行革を考え、天下り禁止に筋道をつけようとした。親分がその気なら子分もやる気になる。だがその親分が引退して跡目をついだ新親分は「切った張ったはご法度」という考え。行革などというダンビラを振り回すのはよして、まずは穏便にというわけだから、さて振り上げたこぶしをどうするか、そのやり場に困った渡辺さんだが、しかしそれでは掲げた看板が泣く
▼省益優先のぐるぐる回る風車にドン・キホーテよろしく立ち向かう彼の姿には悲壮感が漂うが、「負けるな一茶ここにあり」。案の定、各省はせっかく手に入れた利権を手放す気など毛頭なく、その意を体して担当大臣も木で鼻をくくったような対応だ。冬柴国交相は事実上のゼロ回答、若林農水相も同様で、残る各省とも「以下同文」だろう。
▼国民の96%が反対する天下りの、その受け皿である各種政府系法人は実に四千五百に達し、六兆円もの金が流れている(政治評論家・屋山太郎氏)のに、政府そのものが傍観を決め込んでいるこの悲劇。政治家が官僚に使われている証明がこれから続々出てくるだろう。
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なんでもかんでも民営化するべきではないけれど、本当に必要か必要でないかの議論がまったく見えてこないというか、その前の前提としてどの独立行政法人がどういった仕事をしていて、どう必要なのかの説明もいまいちされていないと思う。