<独法改革>11法人を廃止・民営化 17法人は統合・移管
政府の独立行政法人改革の骨格案が28日、明らかになった。都市再生機構など11法人を廃止・民営化するほか、水産総合研究センターと水産大学校など類似業務を行っている17法人は統合するか他機関・地方に移管する。また、独法として存続の場合も事務・事業を見直すこととし、日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ(サッカーくじ、愛称toto)や日本学生支援機構の奨学金事業も検討対象とする。政府は所管省庁との折衝を経て、12月中に整理合理化計画を策定する。
渡辺喜美行革担当相は既にこうした案を福田康夫首相に説明しており、首相も大筋で了承した。ただ、改革対象の101法人のうち、組織形態見直しの方針が固まったのは3割弱の28法人にとどまり、今後、残る独法についてどれだけ見直せるかが焦点になる。
政府は(1)事務・事業の見直し等(2)廃止・民営化(3)統合・移管(4)非公務員化――の4類型で独法を整理。統合・移管では、農業生物資源研究所など農水省所管の研究開発型6法人を複数の法人に再編。国立女性教育会館と国立青少年教育振興機構も統合する。廃止・民営化と統合・移管によって独法は20以上削減される計算となる。
渡辺行革相が民営化を主張していた国立印刷局と造幣局は、公共性の強い通貨製造業務を残し、それ以外は廃止・縮小する。雇用・能力開発機構の若者向け職業展示施設「私のしごと館」事業なども見直す。統計センターと国立病院機構の役職員は非公務員化する。
ただ、廃止・民営化に分類した11法人のうち緑資源機構(廃止)と通関情報処理センター(民営化)を除く9法人は、所管省庁の抵抗で実現の見通しが立っていない。例えば日本貿易保険の民営化に対して、甘利明経済産業相は「変えたことで得点になると思うと間違う。それ(民営化)でできるなら、私はいつでも代わる」と反対する。政府関係者は「決着は11法人プラスマイナス」と語っており、大幅な上積みは難しい状況だ。
渡辺行革相は来週から関係閣僚と折衝を始めるが、首相が裁定に乗り出す場面もありそうだ。【三沢耕平】
◆政府の独立行政法人改革骨格案◆
《廃止・民営化》
▽通関情報処理センター▽日本万国博覧会記念機構▽メディア教育開発センター▽教員研修センター▽国立健康・栄養研究所▽労働政策研究・研修機構▽緑資源機構▽日本貿易保険▽海上災害防止センター▽都市再生機構▽住宅金融支援機構
《統合、他機関・地方への移管》
(1)国民生活センターを中心とする消費者保護機能の集約化
(2)国立女性教育会館と国立青少年教育振興機構
(3)農業生物資源研究所▽農業環境技術研究所▽農業・食品産業技術総合研究機構▽国際農林水産業研究センター▽森林総合研究所▽水産総合研究センター
(4)水産総合研究センターと水産大学校
(5)土木研究所▽建築研究所▽電子航法研究所▽交通安全環境研究所▽海上技術安全研究所▽港湾空港技術研究所
(6)空港周辺整備機構
《事務・事業の見直し等》
▽造幣局、国立印刷局の通貨製造業務以外▽日本スポーツ振興センターのtoto事業▽日本学生支援機構の奨学金事業▽雇用・能力開発機構の「私のしごと館」など▽農畜産業振興機構の畜産事業▽情報処理推進機構のソフトウエア開発への助成
《非公務員化》
▽統計センター▽国立病院機構
先に言っておくが、独立行政法人がすべて悪いわけじゃない。
>日本学生支援機構の奨学金事業
これなんかは私もお世話になったし、今でも必要とする人はいるだろう。
本当に必要なもの必要な事業と、不要なもの民間で十分なものをきちんと選り分けて欲しい。