日本兵遺骨が見世物に トラック環礁
世界有数のダイビングポイントとして知られるトラック環礁(ミクロネシア連邦チューク州)で、日本兵の遺骨が見せ物にされている-。こんな情報を耳にした国際協力機構の職員が現地に赴き目にしたのは、現地のガイドが沈船の中に眠る遺骨を甲板に並べ、欧米のダイバーを案内してチップを得ているという現実であった。
連合艦隊泊地であったトラック環礁は昭和19年2月17、18日の両日にわたってアメリカ軍の空襲を受け、艦船43隻が沈められた。戦後、日本政府によって遺骨の一部は引き揚げられたが、大半は船の中に眠ったままだ。
戦没者慰霊と遺骨収集に関心を持つ国際協力機構の井上達昭さん(41)が休暇を取って現地に入ったのは8月末。
「私の関心は愛国丸のご遺骨の状態を確認することでした。ガイドに案内されてたどり着いた愛国丸の上甲板には、船の名前を記したプレートが置かれ、その前にご遺骨が並べられていました」
現地で情報を収集すると、ガイドたちがいくつかの沈船に自分だけの遺骨の隠し場所をつくっていることがわかった。また、ホテルのポスターや沈船観光を手配する旅行会社のホームページには、必ずといってよいほど遺骨の写真が使われていた。
「ガイドたちは欧米のダイバーをそこに案内し、多めのチップを得ているそうです。さすがに日本人とわかるとそこに誘うことはないようですが」
沈船を重要な観光資源と考え、遺骨の引き揚げを“墓あばき”と感じるミクロネシア側は、遺骨の持ち出しを固く禁じている。そのため、日本政府が要請し、相手の承認を得ないかぎり、見せ物となっている遺骨に手が出せないのが現状だ。
「トラック環礁の遺骨の収集については、厚生労働省が終結を宣言しています。予算がつかないというのなら、ボランティアのダイバーを動員するなど、政府には何らかのアクションを起こしてほしい」と、井上さんは話す。そして、自身のできることとして、世界最大のダイバー養成機関「PADI」の機関紙に戦没者と遺族の尊厳を踏みにじる猟奇的なダイバーの趣味を告発する手記を投稿する予定という。
「女ひとり玉砕の島を行く」の著者であるジャーナリストの笹幸恵さん(32)はこう話す。「遺骨を見せ物にするなんて、ダイバーの良識以前に、人間としての良識の問題。その観点から、遺骨の引き揚げを“墓あばき”と感じるミクロネシア側に、日本政府は粘り強く働きかけて、一刻も早く見せ物にされているご遺骨を引き揚げるべきです」
http://www.sankei.co.jp/shakai/wadai/070915/wdi070915009.htm
墓暴きはダメだが、見世物はOKと言う事でしょうか。