女性の躍進 議場の景色は変わるか
参院選で女性の躍進が目立った。今春の統一地方選に続き、当選者数が過去最多となった。それでも世界的に見ると、日本はまだまだ少ない。この流れを止めず「先進国」入りを目指したい。
傍聴席から見下ろすと、紺やグレーの背広を着た男性議員ばかりの議場はドブネズミ色に見えるという。ある女性国会議員の嘆きだ。国会が男性中心の社会だということを象徴する景色なのだろう。この選挙で変わるか。
女性の当選者は選挙区と比例代表を合わせて二十六人となり、三年前の前回参院選より十一人増えた。「マドンナ旋風」で社会党が大勝した一九八九年参院選の二十二人を上回り、過去最多となった。
当選者数だけでなく、東京選挙区では民主の女性新人候補が百万票を超える得票でトップ当選を果たし、自民の女性新人も同じ党の男性ベテラン候補を弾(はじ)き飛ばした。「姫の虎退治」といわれた岡山や「竹下・青木王国」の島根では、若い女性候補が自民の壁を打ち破った。
今年四月の統一地方選でも、前半選の道府県議選で、女性当選者は百九十人と過去最多を更新した。後半戦の市議選では女性が千百二十二人と三回連続で千人を突破し、全議席の14%を占めて過去最高となった。
民意を広く政治に反映するためにも女性の政界進出は欠かせない。こうした傾向が本物なら歓迎したい。
しかし、世界各国の議員交流を進める列国議会同盟(IPU)によると、下院(日本は衆院)または一院制議会に占める女性議員の比率では日本は9・4%で、九十九位。参院は非改選組も含め女性議員は四十二人に増え、全議席の17%となるが、それでも「平均点」にすぎない。
政党にはさらなる女性候補の発掘や挑戦しやすい環境づくりなどに取り組んでもらいたい。
ある女性の衆院議員は参院選での躍進について「有権者は若い女性候補に『しがらみのなさ』を見いだし、男性のベテラン候補に『古い政治』を感じたのではないか」という。ならば、政治を変えるという重い責任を負ったことになる。
女性候補の多くは年金や教育、子育てなど「生活」重視を訴えた。私たちの暮らしをどうにかしてほしい。そんな有権者の切実な声を吸収したものであるなら、なおさらだ。
かつて女性の参院議員が党派を超えて「配偶者からの暴力の防止等に関する法律」(ドメスティックバイオレンス新法)をつくり成立させたことがある。議員活動で存在感を示して初めて議場の景色は変わる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007073102037344.html
男女で差別するつもりは無いが、女を売りにする議員はイラネ