今日まで色々書いてきました。
・年金問題~名寄せとは?
・[浮いた年金問題]三億のうち5000万件浮いているのは自民党の所為じゃないだろ
社会保険庁「名寄せ作業、指示が無いから何もしてません」
・年金の制度―自民案でいくか民主案で行くか
・民主党の年金改革案は穴だらけ!
・年金制度改革―で、どうするの。
・年金制度改革―結局どこかで我慢しかない。
こんなややこしいのならいっそ年金制度なんて止めちまえって人も出てくると思う。
そして、実際そういう提案もあった。
今ある制度はきっぱり止めて、新しい制度を作り直そう、と。
じゃあ、ぱったり年金制度を止めてしまったらどうなるか。
毎月結構な負担だった保険料が無くなってラッキー(w
になるかというと、そうじゃない。
これまで払ってきた保険料は返してもらわなければいけない。
5年とか10年とか、人それぞれ払ってきた額は違うだろうけれど、みんな返してもらわないとそれは困る。
現行の年金制度は、現役世代がせっせと貯水槽に水を運んで、リタイア世代がその水を貰う制度。
水の供給が止まるのに、飲むのは止めないわけだから、当然貯水槽はすぐに枯渇しちゃう。
結局誰かが水を供給し続けなければいけない事に。
ここから分るのは、
最低でも同等の金額の供給が行われ続けなければ、
これまで払った保険料すら帰ってこなくなる。
そして旧制度をぱったり止めて、新しい制度に移行すると
旧制度分の年金支給費用と、新しい制度用の保険料とで、2重の負担になる
って事。
こうして考えると、自民党が大きな制度改革が出来ないのも良く分かる。
ここ、重要なポイントだから覚えておいてね。
ちなみに、厚生年金だとプールされている積立金は
150兆円ぐらい。
年金加入者に全部保険料を返すとすると、必要な金額は
総額約600兆円。
制度改革しようにも、現在と同等の保険料は確保しなければならないわけで、新しい制度を始めたとしても、その制度で集められた保険料は旧制度の年金の支払いにも充てなければならない。
てっくさんにトラバ貰って見にいったら、注目すべき資料が紹介されていた。
年金制度法案【民主党案】の概要(PDF)
この資料の⑥にその事が説明されている。
旧制度に基づく年金支給費用は、年金制度改革前の積立金及び年金制度改革実施後の保険料の一部を充て、不足分を国庫が負担する。
厚生年金で当てはめると、
・
年金制度改革前の積立金は
150兆円ある。
・
年金制度改革実施後の保険料の一部と、不足分を国庫負担で充てられる金額は
450兆円
数字だけ出されても
450兆円がどのくらいの額なのか実感がないと思うので消費税で計算すると、今の5%で得られる税収が12兆円強。
450兆円得るのに必要な年数は450兆÷12兆円で
約37年!!!
で、もう少し読み進めると、
制度改革後の新制度はゼロからのスタートということになる。
当初は新制度の給付が殆どゼロであり、④で新制度は完全賦課方式とされている事から、保険料はほとんど新制度に回す必要はない。
このため、基本方針に従えば、当面、保険料の大半は旧制度に給付に充てられる事になるだろう。
これらを踏まえててっくさんのエントリーを読むと、書かれている意味が良く分る。
【テキトー】民主年金政策の経緯【なめとんのか】
民主年金案は本当はすぐにもらえない?
まとめると、
新制度を始めても
保険料は新制度によって算出されるが、
年金支給は旧制度という状態がかなりの期間続く事になる。
完全に新制度に移行するのは40年後だそうですが、足りない450兆円をどうにかするのにそのぐらいかかる、と。
ああ、なんだか数字の根拠がわかって来た。
消費税を目的税化とは言うものの、スタートの頃は殆ど旧制度を終わらせる為に使われる。
5%の消費税で終わらせるためには実は約40年ほど必要。
40年経つとやっと全額新制度の基礎年金に使う事が出来るようになる。
でも、そうするとその40年の間に必要になる新制度用の基礎年金分が足りない。
で、他の税金を持ってくると言い出してみたり、足りない分支出を押さえてみたり。
つまり年収600万円以上の人の給付制限。
で、ここで最初の話を思い出す。
旧制度をぱったり止めて、新しい制度に移行すると
旧制度分の年金支給費用と、
新しい制度用の保険料とで、
2重の負担になる
40年かけて移行しても、結局は
旧制度分と
新制度分の2重負担が必要で、徐々に比率が変わるだけなんだー。
なるほど。