年金の制度―今のままか、抜本改革か
「今の仕組みで本当に百年安心といえるのか」と民主党が攻めれば、与党は「民主党案は絵に描いた餅で、無責任だ」と切り返す。
参院選で最大の争点である年金問題では、宙に浮いたり消えたりした年金記録の問題と並び、年金制度のあり方をめぐっても激しい論戦が続いている。
年金の記録漏れは、政府の責任で解決するのは当然のことだ。だが、それだけで年金への信頼が得られるわけではない。本当に安心して暮らせる年金にするためにはどうしたらいいのか。そのための制度設計も問われているのだ。
与党が勝てば、いまの制度を後押しすることになり、逆に民主党が勝てば、見直しを迫ることになるだろう。勝敗の分かれ目が、制度論議に大きな影響を与えることは間違いない。
一口でいえば、与党はいまの制度の枠組みを維持したまま、保険料を固定し、年金水準を削減しようとしている。自ら「百年安心プラン」と名づける。
民主党は年金を一元化し、所得比例年金と最低保障年金の2階建てにする。いわば「最低保障プラン」だ。
だが、それぞれ一長一短がある。
与党の基本的な考え方は、3年前の政府の改革で乗り切れるということだ。
厚生年金の保険料は18%余りまで引き上げて固定する。少子高齢化が進むにつれ、給付を削る。これで現役世代の平均収入の50%余りの年金水準を維持する。
しかし、少子化は早くも政府の予想を超え、制度の前提が崩れつつある。
給料から天引きされる厚生年金と違い、国民年金(基礎年金)の保険料は徴収率が低迷している。社会保険庁を解体して非公務員型の公法人にしても、徴収率が劇的に向上するとは思えない。
3年前の改革で、09年度に基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1へ引き上げることになった。消費税の引き上げが想定されたが、安倍首相は明言を避けている。実現できるか心配だ。
民主党案はスウェーデンを手本にしたもので、4年前の総選挙から掲げている。厚生と共済だけでなく国民年金も統合する。1階部分の最低保障年金は税で賄うため、保険料の未納はなくなる。
問題はその財源だ。消費税を全額充てる。消費税のうち地方へ回していた分は補助金を削って賄う。だが、補助金の多くは医療や介護などが占めており、他の福祉がしわ寄せを受けかねない。
3年前の参院選では、財源として、新たに年金目的消費税を掲げた。これに比べ、説得力に乏しい。
2階部分の所得比例年金では、自営業者らの所得もつかむ必要がある。それには納税者番号制が欠かせないが、今回のマニフェストでは消えてしまった。
年金制度は政権が交代するたびに変えるわけにいかない。しかし、将来をにらんで、どちらの制度設計がいいのか。有権者が見定めるには、絶好の機会だ。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
ちょっと突っ込みがあったけど、民主案への批判は民主が具体的な数字を出さないと批判になりきれないというか。
というか、出せるような数字じゃないんだろうと思うんだよな。
年金のお話はてっくさんがまたエントリーしていたので、そちらで勉強して貰う事として
【年金】いただいたコメントに対して
具体的な基礎年金額とか料率とかに対する議論を脇において、基礎年金の財源について考えても、民主の言っている事は「一ヶ月一万円生活すれば、貯金が出来ますよ」レベルのように思えるんだけど。