外交・安保 平和と安全の議論が低調すぎる
北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威、中国の急速な軍備増強、そして世界各地で続く国際テロと大量破壊兵器の拡散――。
日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。いかに自国の平和と安全を確保するか。この重要課題に正面から取り組むことは、政治の大きな責任である。
ところが、今回の参院選での外交・安保論議は低調すぎる。各政党と候補者はもっと議論を活発化させるべきだ。
自民党の155項目の公約は、10項目が外交、6項目が安保だが、政府の政策を羅列した印象が否めない。北朝鮮の拉致問題について、「国家の威信をかけて拉致被害者全員の帰国を実現する」という決意を示した表現が目立つ程度だ。
先の6か国協議は、北朝鮮の核の申告や無能力化の履行時期を明示できなかった。核廃棄の道筋は依然、不透明だ。
北朝鮮の核とミサイルに対する抑止力を高めるためには、強固な日米同盟が欠かせない。拉致問題の進展にも、同じことが言える。自民党が日米安保体制の強化や防衛協力の緊密化を掲げたのは、そうした認識に基づいているのだろう。
民主党の公約は、「主体的な外交を確立する」とし、「相互信頼に基づいた、強固で対等な日米関係」の構築を訴える一方で、「自衛隊のイラク派遣を直ちに終了」と明記している。
航空自衛隊のイラク空輸活動は、今の日米同盟を支える重要な柱だ。代替策も示さずに終了した場合、「強固で対等な日米関係」が維持できるだろうか。
民主党の小沢代表は「同盟とは対等の関係だ。主張はきちんと言う必要がある」と語る。だが、外交の世界では、「言うべきことを言う」ためには、「やるべきことをやる」ことが前提となる。それなしでは、日米同盟強化に反対する共産、社民両党と同じと見られないか。
集団的自衛権について、民主党は、昨年12月に決定した「政権政策の基本方針」で一部の行使を容認していたが、公約では言及を避けた。党内の反対論に配慮した結果だろう。自民党も、今秋の政府の有識者会議の結論を待って対応するとし、明確な方向性を示していない。
国際平和協力活動について自民党は、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の「制定を目指す」と明記した。2005年衆院選の政権公約の「検討する」との表現から一歩踏み込んだ。公明党は「1万人の専門家育成」を目標に掲げている。
集団的自衛権と恒久法の問題は、参院選後の大きな焦点となる。責任ある政党と候補者は、選挙中に具体的な立場を明示し、論議を主導してもらいたい。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070723ig90.htm
どう考えても社会保険庁が悪い「浮いた年金」問題や、どうでもいい言葉狩りなんぞいい加減にして、まともな議論をして欲しい。