大地震は被害の詳細が明らかになるにつれ、そのつど被害と対策の盲点を突きつける。一九七八年の宮城県沖地震ではブロック塀倒壊とマンション修理と区分所有の問題。二〇〇四年の新潟県中越地震では、避難生活が引き起こすエコノミークラス症候群だった
▼今回の中越沖地震では、瓦屋根の古い木造家屋の倒壊で、老人に死者が集中したが、なんといっても東京電力柏崎刈羽原発の被害の深刻さだろう。火災は建屋外だったが、運転中の四基で炉が緊急停止した。柏崎市長は消防法に基づき、安全が確認されるまで運転しないよう使用停止命令を出した
▼気象庁によれば、本震に続いた余震の発生域分布の解析から、震源に連なる活断層が同原発の下に差し掛かっている可能性が強まった。直下の断層を想定外とする東電の設計時の前提が崩れたことになる
▼刈羽1号機については、活断層の存在を理由に許可処分取り消しを求めた住民訴訟の〇五年控訴審判決で、東京高裁は「断層ですらない」と退けていたが、この訴訟はどうなるのか
▼どうやら日本列島は地震の活動期に入ったようだ。となれば、原発の安全運用には慎重の上にも慎重を期し、総点検を迫られるのは確かだ。天変地異の最たるものは火山の噴火と地震だが、人災の最悪は核兵器だ
▼その核を平和利用に限定する非核三原則の国で、原発の安全運用は至上命令である。ヒロシマ・ナガサキの被爆体験を「しょうがない」と言って辞任した防衛相がいたが、今回の地震は、そんな核意識のゆるみへの警告にも見える。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2007071902033736.html
地震災害も東京新聞にとってはイデオロギーの格好の宣伝材料でしかないようですよ。