<遺棄毒ガス賠償訴訟>原告側全面敗訴の逆転判決 東京高裁
旧日本軍が中国に遺棄した毒ガスなどで被害を受けたとして、中国人13人が日本政府に約2億円の賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は18日、約1億9000万円の支払いを命じた1審・東京地裁判決(03年9月)を取り消し、請求を棄却する原告側逆転敗訴の判決を言い渡した。小林克已裁判長は「国が遺棄兵器の情報を中国側に提供したとしても、事故を防げた可能性が高いとは認められない」と述べた。原告側は上告する。
原告は、黒竜江省で74、82年に起きた毒ガス事故と95年の砲弾爆発事故で死亡した3人の遺族6人と負傷者7人。
控訴審で国側は、事故原因が旧日本軍の遺棄兵器とは言えないと主張したが、判決は毒ガスについて旧日本軍関係者が隠したものと認定し、遺棄は重大な危険を及ぼす違法行為と指摘した。
そのうえで、国の戦後の対応について違法性を検討。遺棄兵器の情報を集め中国側に調査や回収の申し出をするのは国家の責務としつつも、遺棄兵器の発見場所が中国各地に広く分布していることなどを挙げ、情報提供しなかった国の不作為と事故の因果関係を否定し、賠償請求を退けた。
一方で「中国人被害者が個別に我が国へ賠償請求することは法解釈上、認めがたい。総合的政策判断の下に全体的かつ公平な救済措置の策定が望まれる」と付言した。
遺棄毒ガスを巡る賠償請求訴訟では、別の訴訟で1、2審とも原告が敗訴し、他に1件が東京地裁に係属中。【北村和巳】
◇「判決でたらめ」 法廷で原告抗議
来日して判決を傍聴した原告の李臣さん(62)は、法廷で「でたらめな判決だ」と叫び、孫文斗さん(47)は右腕を突き上げて抗議した。
判決後に会見した李さんは目に涙をため「正義は我々にある」。服を脱いで全身に負った皮膚のただれを報道陣に示した。74年、川底のしゅんせつ作業中に毒ガス弾に触れ、体と生活の苦しさから、85年に農薬を飲み自殺を図った。
孫さんは82年、下水道工事中に毒ガスの入った缶を見つけた。吸い込んだ影響で胃の3分の2を切除。一人息子は学校で「マスタードガスの子」といじめられた。「判決への怒りは言葉で言い表せない。われわれも日本人と同じ人間だ」と語った。【北村和巳】
処分も何もかも中国が引き継いでるのに、なんで日本を訴えるんだよ。
中国政府を訴えろ。