先日のつくる会の扶桑社への要求に、どうも私の知る著作権法とズレを感じたので、ちょっと調べてみることにした。
藤岡会長と西尾幹二元会長が弁護士を代理人に立てて送った。つくる会教科書の著作権は自分たちにあるとして、新教科書を「内容、形式、理念のいずれの面から見ても、模倣とは認められないもの」とするよう求めた。
http://www.excite.co.jp/News/society/20070619030200/20070619M40.148.html
形式は分る。内容と理念に著作権なんかあったかな?
私が苦労して調べたデータは、著作権で保護されますか。
富士山の高さは何メートルであるといった単なるデータは、事実にすぎず、思想又は感情を包含していないため、それ自体は著作権法による保護はありません。ただし、それらのデータを収集し、一定の考え方のもとにまとめて整理したものであれば、全体として、編集著作物又はデータベースの著作物として、また、創意工夫をこらした図表にしたような場合は、図形の著作物として、保護される可能性はあります。
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=0000028
学術論文の「学説」は著作権で保護されますか。
著作権では保護されません。
著作権は表現の保護であり、アイデイアは保護しません。一般に学説は、このアイデイアに相当するものと考えられていますので、著作権法の保護はありません。なお、学術論文自体は著作物であり、例えば論文の無断コピーが一般に著作権侵害になるのは言うまでもありません。
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=0000031
算数や数学の教科書は著作物ですか。
著作物と考えられます。算数や数学の教科書の中で記載されている、定理や公理、あるいは簡単な数式などは、著作物とはいえないと考えられますが、それらを説明する文章などについては、一般に執筆者の独自の表現である場合が多く、著作物になると考えられます。また、教科書全体については、様々な定理、公理、数式、説明文等を、よりわかりやすくなるよう工夫して選択し、配列していますので、編集著作物になるものと考えられます。
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=0000088
単なる事実(内容)には著作権は無い。
しかし、その表現方法(形式)には著作権が生じる。
Q.2 アイディアは著作権で保護されるのですか
A.2 英語がすぐに喋れる勉強方法を表した文章、統計を活用した天気予報の新理論が書かれた論文、新しい健康機器を表した図面などが著作物であることは間違いありませんが、そこに表されている方法、理論、考案などのアイディアに相当するものは著作権では保護できません。なお、アイディアを保護する法制としては、特許法、実用新案法などがあります。
Q.3 保護されないとすれば、著作権は何を保護しているのですか。
A.3 著作権で保護されるのは表現そのものです。英語がすぐに喋れる勉強方法を表した文章がコピーされれば著作権で守れますが、他人がその方法を使って実際に英会話を教えたり、その方法を全く別の文章で解説したとしても著作権侵害にはなりません。
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/faq.html
アイデア発想そのものには著作権は無い。
で、教科書の題名について、ごねているとして。
小説を書いたのですが、自分が考えている題名と同じ題名の小説が既にあります。私の作品の題名は変えなければならないでしょうか。
変更する必要はありません。小説や音楽などの著作物の題名自体は、著作物と考えられていないからです。ただし、著作権とは別な問題ですが、読者が既にある作品と誤解して購入することを意図して同じ題名を付けて発売したような場合は、不正競争防止法上の問題が生じるおそれがあります。
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=0000065
標語、キャッチフレーズは著作物として保護されますか。
標語やキャッチフレーズが、著作物であるかどうかは、ケースバイケースで判断されると考えられます。
単に言葉を羅列し語呂よく組み合わせただけのもの、ありふれた表現などは、著作物性が認められません。ただし、言語の著作物として創作性が認められるような表現であれば、標語やキャッチフレーズであっても、著作物性が認められる場合があると考えられます。
標語については、五・七・五調を用いて作成された交通安全のための交通標語について、著作物性を認めた判例(東京地裁平成13年5月30日判決)があります。
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=0000093
流行語大賞を獲得した言葉や造語は著作物ですか。
流行語大賞の対象となるようなごく短い言葉や単語は、一般的に表現に創作性があるとは言えず、著作物には該当しないと考えられています。
http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=0000094
まー、なんか色々と無理がある要求っぽ。