戦後補償裁判、節目に

戦後補償裁判：「加害者」側企業、国の対応が焦点に

　第二次大戦中に被害を受けた外国人が日本の政府や企業に賠償を求める戦後補償裁判が、大きな節目を迎えている。強制連行や性的暴行などで中国人被害者の賠償請求を退けた５件の最高裁判決・決定（４月２７日）により、司法救済の道はほぼ閉ざされたからだ。ただ、最高裁は加害の事実を否定してはおらず、今後は、企業や国が訴訟外でどう対応するかが焦点となる。

　最高裁は、サンフランシスコ平和条約（１９５１年）や日中共同声明（７２年）の請求権放棄の規定を基に「賠償請求権は消滅していないが、裁判で請求することはできない」という論理で中国人側を敗訴させた。同条約は「国および国民の賠償請求権」の放棄を明記。日中共同声明には「国民の」という表現がなく、解釈が争われたが、最高裁は「声明にも平和条約の枠組みが及ぶ」と決着を付けた。

　戦後補償裁判は現在も２０件以上が係争中だが、最高裁の判断に従えば、戦時中の行為に対する賠償は裁判で認められず、原告側が敗訴する見通しになった。条約未締結の台湾や北朝鮮、日韓協定対象外の在日韓国人の被害者しか司法救済の可能性がないことになる。

　一方で、最高裁判決は「被害者らの被った精神的・肉体的苦痛は極めて大きく、西松建設は中国人労働者らを強制労働に従事させて相応の利益を受けており、関係者は被害救済に向けた努力をすることが期待される」と異例の付言をした。だが、訴訟外での救済も決して容易ではない。

　４月２７日の判決直後、原告らが東京都港区の西松建設本社を訪れ、謝罪や補償を申し入れた際も、同社は「判決を分析して慎重に対応したい」と消極的な姿勢を見せた。同社関係者は「１社が補償に応じれば、国際問題にもなりかねない」と漏らす。

　同じ日の「慰安婦」訴訟の最高裁判決には付言はなかった。国が無策を続ける強制連行に比べ、慰安婦を巡ってはアジア女性基金による償い金支給が実施された。付言の有無は、国や企業の救済努力の違いを反映したともいえる。

　戦後補償裁判に詳しい小野寺利孝弁護士は「判決は国会と政府に自発的対応を求めたと考える。裁判所のメッセージを受け止めるべきだ」と政治主導による解決を求めている。【高倉友彰、木戸哲】

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070505k0000m040067000c.html

いつまでタカるつもりだろうね。

歴史と文化が育まれた古都