補助金詐欺:研究者から3000万円 小坂容疑者の会社
補助金の流れ
厚生労働省の科学研究費補助金を巡る詐欺事件で、NGO「レインボーブリッヂ」事務局長、小坂博幸容疑者(54)が社長を務めていた医療機器販売会社「マルクインターナショナル」の口座に、同省の補助金を受けた研究者らから計約3000万円の入金があることが警視庁捜査2課の調べで分かった。マルク社には取引の実態がなかったといい、同課は小坂容疑者が同省技官で埼玉県保健医療部長に出向中の中村健二容疑者(49)と共謀して補助金の詐取を繰り返していたとみて追及している。
同課の調べでは、これまでにマルク社の口座に、厚労省から補助金を受けた複数の研究者からの入金が約3000万円あった。多くはプリンターなど事務機器の代金名目だったが、実際に売買した形跡がないという。
小坂、中村両容疑者は、「精神障害者が快適・安全に生活するためのインフラの整備に関する研究」に対し厚労省が01~02年度に支給した科研費補助金計3000万円のうち、余剰分の210万円を同省に返還しなかった詐欺容疑で9日逮捕された。
この研究は、京都の大学教授が主任研究者を務め、分担研究者として専門家8人が参加。中村容疑者の部下の課長補佐がその1人として名を連ね、01年度に200万円、02年度に170万円の分担研究費を受け取った。うち01年度に90万円、02年度に120万円の余剰金が出たが、中村容疑者はその全額をマルク社に送金させ、マルク社から架空の見積書を受け取らせていた。
捜査2課は、他の研究者らからマルク社口座への約3000万円の振り込みは、これと同様の不正な入金だった疑いが強いとみている。
科研費補助金は厚労省の募集に応じた研究者の提案の中から選ばれた研究に対して交付され、04年度には約1400人の研究者に約420億円が支給された。補助金から研究に必要な事務機器を購入することもできる。
一方、小坂容疑者の自宅とレインボーブリッヂは06年7月、東京地検特捜部が摘発した水谷建設(三重県桑名市)の脱税事件に絡み、関係先として家宅捜索された。水谷建設からレインボーブリッヂに、約2億円の不透明な資金流出があったとの疑いによる捜索だった。レインボーブリッヂは、燃料用の廃タイヤチップを送るなど北朝鮮向けの支援をしていた。メンバーは80回以上北朝鮮を訪問したという。【石丸整、鳴海崇】
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070310k0000e040073000c.html
補助金詐欺:「NGOは半分詐欺」逮捕前に小坂容疑者語る
「NGOは半分詐欺のようなもの」。警視庁捜査2課が9日に摘発した補助金詐欺事件で、医療機器販売会社社長、小坂浩彰容疑者(54、本名・博幸)は逮捕前日、毎日新聞の取材にそう答えていた。共謀したとされる厚生労働省技官で埼玉県保健医療部長、中村健二容疑者(49)とは10年来の友人。北朝鮮との太いパイプをアピールし、テレビにもたびたび出演していたNGO「レインボーブリッヂ」(東京都中央区)設立者としての顔も持っていた。
NGOは北朝鮮への人道支援を目的に、小坂容疑者が中心になって00年4月に設立。自ら事務局長を務め、現在は代表代行を兼ねる。
小坂容疑者は8日、訪朝に関する毎日新聞の取材に応じた。逮捕を予想している様子はなく「我々NGOは半分詐欺みたいなことをして金を取っているから」と冗談交じりに答えていた。
北朝鮮への人道支援活動の一方で、常にカネをめぐるうわさも。度重なる訪朝目的は「お金もうけで利権だ。それ以外にない」などと話した。メディアへの意識も強く、こんなことも口にする。「メディアに出ないと商売にならないもんね。依頼を断りながらたまに出るのがいいパターンだ」
横田めぐみさんの元夫の金英男(キムヨンナム)氏や娘のヘギョンさんとも「おれは(北朝鮮側との交流の)実績があるから会える」と強調。03年7月に、蓮池薫さんらの子供の写真などを持ち帰って話題となったが「17~18年前にゴルフ場開発に絡み、先払いの金が選挙資金に流用された詐欺罪で実刑判決を受けた」と記者会見で話していた。
02年の暮れには、ヘギョンさんと横田滋さんを北朝鮮で面会させようと画策。家族会などが拉致問題を幕引きさせる動きとして反発したため、これは実現していない。
一方の中村容疑者。不正を行ったとされる鹿児島県部長時代の部下の男性は、逮捕の知らせに「信じられない。明るく温厚な印象だった。ばりばり働くタイプではないが、自由にやらせてくれる人だった」と驚いた様子だった。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070310k0000m040169000c.html
「レインボーブリッヂ」なんて、北朝鮮の手先だってことぐらい最初から分っているだろうに。