ブログ解読 「半閉鎖」の中の無防備…稲葉振一郎
今回はブログではなくSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の話をしよう。何のことかお分かりにならない方も「ミクシィ(mixi)=http://mixi.jp/」といえば「ああ」と思い当たられるのではないか。先頃上揚して300万の高値をつけたあの会杜に代表される会員制ネットサービスのことだ。
ご存じの方はご存じだろうが、あの会杜は上場間もなく、ふとした事件のせいで100万円近く株価を下げた。軽率なタブロイド紙のおかげでおおごととなったその事件について、詳細は記すまい。実はその事件の前からすでに、ミクシィ界隈では非常に問題含みの動きが相次いでいた。
mixiをはじめとするSNSの売りは半閉鎖性である。紹介がなければ入れない会員制だし、入ってからも、誰に自分の情報を見せるか見せないか(誰でもOKか)、友達までか、友達の友達までか、等)、大幅な選択の自由がある。だから「2ちゃんねる」以降、そして「Web2.0」以降の「友達ほしい、でも野次馬や荒らしは勘弁」という、原則公開のウェブ世間の緊張に疲れた人々がひきつけられたのも無理はない。
同社のホームページによると、今年9月現在の会員数は570万人以上という。
しかし、そういう安心感の反動からか、mixiユーザーの少なからずが、時にあまりに素朴で無防備な振る舞いを見せ始めた。ぼくが「ヤバイ」と思ったのは加藤紘一氏宅放火事件のときだ。こういうときに「万歳」「ザマミロ」などと法に触れかねないひどいエントリが「2ちゃんねる」や匿名ブログに乱立するのは毎度のことだが、mixiでも意外なほどに乱発された。
「意外」?そう、意外だった。「友達まで公開」等のアクセス制限をかけて伸間内で溜飲を下げるのではなく、mixi会員なら誰でも読める全面公開で、犯罪まがいの罵署雑言を垂れ流すその振る舞いは、怒りよりむしろ「大丈夫か?(たとえば悪意ある奴に学校や勤務先に『お宅の学生・社員がこのような反社会的な発言を云々』とかタレこまれたらどうする?)」と心配してあげたくなるほど無防備だった。
注意してみれば、今年に入ってその手の事件は頻発していた。典型的なパターンは、mixi内の日記や掲示板で差別発言をしたり盗撮写真をアップしたり、という悪行を「2ちゃんねる」に晒されて「炎上」、ではすまずに、もともと公開していたか、あるいは状況証拠から割り出された実名・身許をたどって、学校や勤務先にまで抗議される、というものだ。前回取り上げたブログ「炎上」現象によく似ているが、「自業自得」度はこちらの方が高い。本来mixiなら見せる相手を選ぶことができるはずなのに、そういう注意を怠ったという責任を、「被害者」には認めることができる。これは本来簡単に回避できるリスクなのだ。
こういうトラブルは、一時の過渡的現象なのだろうか?いずれ人々はブログに慣れ、SNSに慣れて、不用意な発言を不用意な揚所でやって「晒され」たりすることもなくなるのだろうか?おそらく、そうだろう。
しかし、そのころにはまた新たなコミュニケーションツールができていて、不慣れな人々が新たなトラブルに巻き込まれてしまうのだろう。かくして「過渡期」は終わることはない。
(明治学院大教員)
朝日新聞 2006/11/13
法がどうのこうのと言う前に、人に知られて困る事はネットに書くなと思うのは私だけでしょうか。
SNSだろうとパスワードで保護されていようと、容易にコピペされ得るわけで。
その辺りの意識の低い人は多いですね。
mixiも対策を練っているようですが…
mixiで氏名・性別の公開範囲を限定可能に
ミクシィは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「mixi」上で、氏名や性別の公開範囲を限定できる機能を、12月上旬に実装する。「ユーザーの自由度を高めて居心地の良さにつなげるため」としている。
従来、氏名と性別は会員全体に公開されていたが、「友人まで」「友人の友人まで」「全体に公開」の4つから選べるようにする。
mixiでは、本名で登録していたユーザーが、日記に問題のある内容を書き込み、身元が割れて騒ぎになるケースが何度か起きていた。
また、mixiの「利用上の注意」の内容がこのほど追加された。mixi内でプログラムのぜい弱性を見つけた時の対処方法などセキュリティ面の注意や、日記に何を書くべきかといった利用法などについてアドバイスしている。
mixiの11月12日現在の登録ユーザー数は約660万人。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061114-00000039-zdn_n-sci
どちらかというと、これは人の意識の問題だと思う。