毎日、読売が苦言「おごり感じる」朝日集中砲火
朝日新聞が16日の新聞各紙でやり玉に挙がっている。毎日新聞には、安倍晋三首相の歴史認識を論じた社説について「おごりを感じる」と苦言を呈され、読売新聞には、かつての慰安婦問題報道について名指しは避けられたものの「捏造して報道」と一刀両断されている。企業CMで「言葉のチカラ」を訴えている朝日。言論による反撃はあるのか?!
毎日は、この日朝刊に、論説室の与良正男氏による「本当は悔しい?朝日新聞」というコラム(発信箱)を掲載した。
12日付の朝日社説「君子豹変ですか」を取り上げたもので、安倍首相が村山談話の踏襲など歴史認識を軌道修正したことを、朝日が「『これじゃ朝日新聞の主張と変わらないよ』。旧来の安倍さんに期待した人たちからは不満も聞こえてきそうです」と書いたことを、こう指摘している。
「朝日のおごりを感じないわけにはいかない」「(安倍首相が)修正すると嫌みのオンパレードである」「私には『どうだ、朝日の歴史認識の正しさが分かったろう。ざまを見ろ』と言っているようにしか聞こえない」
厳しい苦言が続いた後、毎日の与良氏は「メディアは謙虚で素直でありたいと私はいつも思っている」と締めくくっている。
一方、読売は同日朝刊に、「『慰安婦』決議案 日本政府はきちんと反論せよ」との社説を掲載した。
米下院の国際関係委員会が、いわゆる従軍慰安婦問題で日本非難決議案を議決したことを取り上げたもので、読売は「こんな問題の多い決議案を放置すれば、日米関係に禍根が残る。日本政府はきちんと反論すべきである」と指摘している。
この問題点をあぶり出す中で、同紙は「慰安婦問題は1990年代初頭、一部全国紙が、戦時勤労動員制度の『女子挺身隊』を“慰安婦狩り”だったと、歴史を捏造して報道したことから、日韓間の外交問題に発展した」と説明しているのだが、この一部全国紙が朝日であることは明白。
昨年7月20日の衆院文部科学委員会で、中山成彬文科相(当時)も「ある新聞が(慰安婦狩りの)大キャンペーンをしたが、その後で(証言者は)『あれはウソだった』と言って取り消された。既にそのときにはこの言葉はひとり歩きをしていた」と語っているのだ。
読売社説は「事実誤認や歴史の“捏造”まで、『継承』する必要がないのは当然である」と締めくくっている。
賢明な読者は、どう読み比べたか。
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_10/t2006101601.html
では、毎日のコラムと読売の社説も読み比べて見ましょう。
本当は悔しい?朝日新聞 与良正男(論説室)
安倍晋三首相が村山談話の踏襲など歴史認識を軌道修正したことについて、先週の本欄で「首相の変節を評価する」と書いた。最初は「首相の立派な変節」とか、もっと皮肉った見出しを考えたが、首相も国を思って持論を抑え日中、日韓会談を再開させたのだ。率直に評価すべきだと思い直した。
こんな話を改めて書いたのは、12日付の朝日新聞社説「君子豹変(ひょうへん)ですか」を読んだからだ。
「拝啓 安倍晋三さま」で始まるこの社説も首相の豹変は「大いに歓迎すべきこと」という。だが、続きはこう。
「『これじゃ朝日新聞の主張と変わらないよ』。旧来の安倍さんに期待した人たちからは不満も聞こえてきそうです」
ここに、朝日のおごりを感じないわけにはいかない。政権発足前から「タカ派首相の危うさと不安」を最も書き続けてきた新聞は朝日だ。当時私は、まだ何もしていないうちから、ここまで騒ぎ立てるのはフェアでないと思っていたが、修正すると今度は嫌みのオンパレードである。
いくらNHKの番組改変問題をはじめ首相と対立してきたとはいえ、私には「どうだ、朝日の歴史認識の正しさが分かったろう。ざまを見ろ」と言っているようにしか聞こえない。
ここからは邪推。本当は朝日は首相の軌道修正が悔しかったのではあるまいか。もっとイケイケドンドンの安倍首相らしさを出してもらった方が批判がしやすいのに……そんな思いが行間ににじみ出ている気がするがどうだろう。
メディアは謙虚で素直でありたいと私はいつも思っている。
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/
[『慰安婦』決議案]「日本政府はきちんと反論せよ」
こんな問題の多い決議案を放置すれば、日米関係に禍根が残る。日本政府はきちんと反論すべきである。
米下院の国際関係委員会が、いわゆる従軍慰安婦問題で日本非難決議案を議決した。
決議案は、「20万人もの女性が性奴隷にされた」「家から拉致され……性的な強制労働につかされた」などと、裏付けのない記述が数多く含まれている。
慰安婦問題は1990年代初頭、一部全国紙が、戦時勤労動員制度の「女子挺身(ていしん)隊」を“慰安婦狩り”だったと、歴史を捏造(ねつぞう)して報道したことから、日韓間の外交問題に発展した。
当時、「慰安婦狩りに従事した」と名乗り出た日本人もいて、これも「強制連行」の根拠とされた。だが、この証言は作り話だった。90年代半ばには、学術レベルでは「強制連行」はなかったことで決着がついた問題だ。
にもかかわらず、96年の国連人権小委員会報告書や今回の決議案のように、事実誤認や悪意に満ちた日本批判が繰り返されるのは、日本政府が毅然(きぜん)と反論してこなかったためである。
米下院委員会で議決されたのは初めてだ。外務省は何をしていたのか。本会議上程阻止が最優先だが、二度と失態を繰り返さぬようにすべきだ。
決議案には、「慰安婦の悲劇は20世紀で最大の人身売買」など、歴史認識へのバランス感覚を欠いた表現も目立つ。
第2次大戦中、ドイツは占領地域で組織的な“女性狩り”をしていた。にもかかわらず、米議会がこれを一度も問題にしていないのは、なぜか。
占領下の日本には、占領軍将兵専用の慰安婦施設があった。もとは占領軍将兵の性暴力を恐れた日本側の主導でできたものだが、占領軍の命令で設置された施設もあった。決議案に賛成した議員たちは、こうした事例も精査したのか。
慰安婦問題が混乱する原因は、93年の河野洋平官房長官談話にある。
河野談話は、確かな1次資料もないまま、官憲による慰安婦の「強制連行」を認めたかのような叙述を含む内容になっている。以後、「日本が強制連行を認めた」と喧伝(けんでん)される材料に利用された。
河野談話について、安倍首相は国会答弁で、継承する意向を表明した。同時に、「狭義の意味での強制性は事実を裏付けるものはない」とも指摘した。
狭義の強制性、つまり、官憲による「強制連行」がなかったことは確かではないか。首相はこう言いたいのだろう。
事実誤認や歴史の“捏造”まで、「継承」する必要がないのは当然である。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20061015ig91.htm
朝日は釣り名人の気がしてきた。