20年使って川ひとつ浄化できず、地元紙「なぜだ?」
山東省を流れる小清河は、汚染が深刻だ。省政府が川の浄化に取り組んで20年が経過したが、一行に効果がない。地元紙「斉魯晩報」は、川の汚染の原因が複合的であることを紹介。環境問題への取り組みが一筋縄ではいかないことが、改めて浮き彫りになった。
■黄河の渇水も小清河汚染に影響
山東省政府が小清河に取り組み始めたのは1980年代初頭だ。省内を流れるそれほど規模の大きくない川だが、浄化が進むどころか、汚染がますますひどくなってしまうありさまだ。
「客観的にみて、運河を掘って水を流し込めば、小清河の水はきれいになるはずだ」と、省環境保護局宣伝センターの王必闘・書記は言う。流量が少ないことが、小清河の自浄能力の制約になっているという見方だ。
まず、流域の年間降水量は省全体の平均降水量である617.1ミリメートルよりも14%近く低い。小清河の水の供給源は黄河から地中を通って浸出してくる水とその他の湧き水だが、1970年ごろから都市部で地下水の汲み出しが盛んになり、湧き水は減少の一途だ。
更に、黄河でも流域に取水が増加した影響で、渇水期に流れが途絶えてしまう「断流減少」が頻発。その影響で、黄河からの浸水も大幅に減っていると考えられている。
■流量減少で失われた自浄能力
また、小清河に流れ込む大小150の支流には100以上のダムが築かれ、容量の合計は5億立方メートル以上に達した。支流からも水供給も以前に比べれば激減している。
一方、流域の工場は汚水を小清河に流し続けている。その中で、特に問題が大きいとされているのが、製紙企業と化学工業企業だ。この2業種からの廃水によるCOD(化学的酸素要求量)は、小清河の水のCODの67%を占めると考えられている。また、排水中のアンモニア態窒素にいたっては88.7%を占めている。
これらの悪条件が重なり、小清河は汚水が淀む排水溝と化してしまった。汚染物質の濃度が高くなりすぎ、微生物などによる浄化作用が働かなくなってしまったわけだ。
■実際には機能していなかった浄化運動
省人民代表大会都市建設環境保護委員会のあるメンバーは、小清河の環境問題は、「汚染の後に浄化を行う」という「お決まりのパターン」をたどったと証言する。80年代から浄化のための取り組みが行われたといっても、実施には調査が行われていただけで、具体的な行動が始まったのは90年代。しかも、2000-03年に汚染が極めて深刻になってから、浄化のための作業に本腰が入れられるようになったという。
省政府は、07年末までに新たに11カ所の汚水処理場を完成させる予定だ。すでに7カ所が完成しているが、現在のところ生活排水の浄化率は63.6%。40%近くの生活排水はいまだに、何の処理も行われないまま小清河に垂れ流されている。(編集担当:如月隼人)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=1006&f=national_1006_002.shtml
汚さないようにしようとか、きれいに使おうとか思わないわけね。