今、この国は本当に平和だと言い切れるでしょうか。
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民衆の痛みや苦しみを知ろうとしない政治家らが弱者切り捨ての徳なき政(まつりごと)を続け、悪政と無策の下で高齢化は進んでなけなしの年金すら受け取れなくなるかも知れず、勝ち組負け組などという言葉が抵抗なく使われて勝者は金満ぶりをひけらかし、振り込め詐欺、悪質リフォームなど高齢者らを痛めつけて恥じない拝金犯罪は後を絶たず、活字離れは深刻で、テレビをつければ芸人の浅薄な笑いが垂れ流され、家に閉じこもったり自分の興味にしか関心を示さない若者が増え続け、農村は荒廃して過疎化が進み、都会の地域社会は崩壊、集合住宅では隣人の顔すら知らない状況です。そしてさらに隣国との関係まで悪化の一途をたどっており、険悪な空気が漂っています。
様々な綻(ほころ)びから目を背け、今日明日という目先の暮らしだけを考えて平和だと言い聞かせ、安心しておられるのではありませんか。
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広島、長崎の原爆忌と終戦記念日がある8月は、とりわけ謙虚な気持ちになって過去を振り返り、平和について考えねばなりません。
アジア各国の人々に多大なる苦痛を与えて大敗した先の大戦で、日本人は何を反省し、どんな教訓を得たのでしょうか。
それは、いかなる挑発を受けたとしても、武力で威嚇したり、戦争を招く道を歩むことだけは避けねばならないという「非戦の誓い」だったはずです。そこで戦後の日本は、戦力の放棄に加え、国際間で紛争が起こった場合、軍事力に頼らずに解決しましょうという高邁(こうまい)な理想を、憲法前文と9条で謳(うた)いました。
しかし、事実上の軍隊である自衛隊は増強され続け、今や世界屈指の戦力です。そして、ついに武器を携えて海外の戦闘地帯に派遣されるようになりました。
終戦記念日、戦争犯罪人であるA級戦犯も一緒に祀(まつ)られている靖国神社に首相が参拝し、中国や韓国のさらなる反発を招いています。首相は「信教の自由に基づく心の問題」と主張しますが、彼は武装した自衛隊の海外派遣を決定した張本人。反発の背景には、侵略に対する反省を忘れ、軍国主義に戻ろうとしているのではないかという疑念、警戒感が横たわっています。「平和憲法」が、アジアの人々の目に詭弁(きべん)と映ったとしても、説明できない状況を招いているのです。
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「はりま ひめじ」面では、昨夏の「玉音放送 その時」に続き、「戦禍の跡 つなぐ記憶」を連載しています。先の大戦を正当化して美化したり、軍国主義を賛美する風潮が強まり、再び戦前のきな臭さが漂い始めているように思えてならない昨今、戦時下で暮らし、戦争の悲惨さを体験された方々から「あの夏」の記憶、平和への思いを聞き、次の世代に伝えていく。再び為政者によって戦争への道を歩ませないため、我々が為(な)すべき大切な職務だと考えています。【姫路支局長・武政和則】
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hyogo/news/20060821ddlk28070186000c.html
>。「平和憲法」が、アジアの人々の目に詭弁(きべん)と映ったとしても、説明できない状況を招いているのです。
うん。だから詭弁だから早く変えちゃおうよ。