社説:大韓民国民団 「白紙状態」の意味が問われる
在日本大韓民国民団(民団)と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の「歴史的な和解」はこの先どうなるのか。
「和解」への地方組織の反発を受けて開かれた民団の臨時中央委員会で、河丙〓(ハビョンオク)団長は共同声明について「白紙に戻したような状態になった」と語った。
共同声明に盛られた「6・15民族統一大祝典」には参加できず、「8・15記念祝祭」の共催も見送られることになったのだから、確かに共同声明が「白紙状態」になったと言えないことはない。
だが、河団長は「白紙撤回」を明言してはいない。行事への共同参加や共催はできなくなったとしても、「民族的団結」のために互いに力を合わせ、「協力」していく方針を民団として否定もしていない。共同声明が霧消したわけではないと考えるのが自然だ。
共同声明を発表した際、私たちは「脱北者支援に背を向けるな」と主張した。長年、いがみ合ってきた組織が「和解」すること自体はけっこうだが、和解を優先する民団が脱北者支援センターの活動を休止したことに少なからぬ危惧(きぐ)を覚えたからだ。
日本に戻ってきた約100人にのぼる脱北者は、帰国運動で北朝鮮に渡った在日朝鮮人やその配偶者の日本人だ。日本での生活も楽ではない。在日同胞の権益擁護を目指すというなら、人道支援休止は組織の存在意義を問われるのではと考えたのだ。
ただ、北朝鮮は脱北者を不法に出国した犯罪者だと決めつけ、彼らを支援する日本のNGO(非政府組織)幹部4人を「公民を誘拐、拉致した」として日本政府に身柄の引き渡しを求めている。
朝鮮総連はそのことをどう考えているのか。脱北者への人道支援を犯罪行為と見ているとしたら、朝鮮総連との和解は困難ではないか。民団は脱北者支援を再開する意向のようだが、朝鮮総連を通じて脱北者情報が北朝鮮に流れはしないかも心配である。
北朝鮮は拉致問題を「解決済みだ」と繰り返している。朝鮮総連も同じ考えなのかどうか。今後も和解を進めるなら民団として朝鮮総連にきちんとただし、その答えを明らかにする必要がある。
朝鮮総連の関連施設に対する固定資産税の減免措置を見直す自治体が増えている。総務省はこの流れを後押しするかのように、都道府県に「厳格な判断」を求める通達を出した。
排外的な動きが広まるのは好ましいことではないが、多文化共生社会にともに生きる以上、北朝鮮に追従する朝鮮総連には厳しいメッセージを送らざるをえない。
韓国の盧武鉉(ノムヒョン)政権が北朝鮮に対し融和政策を進めている。だが、北朝鮮はテポドン2号の発射準備を進め、金大中(キムデジュン)前大統領の訪朝も延期された。民団はそうした現実にも目を向けるべきだ。
在日1世の中には、「民族の和解」という言葉を聞くだけで胸を熱くする人がいるかもしれない。そうした人たちが失望するような和解であってはならない。
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060627ddm005070015000c.html
そもそもこの民族が反日以外で纏まる事ってあるのかなあ。