眠い目をこすってスイッチを入れた早朝のテレビ。サッカーのW杯ドイツ大会に出場するジーコジャパンが、親善試合で開催国の強豪ドイツに大善戦中だった
▼高原の2ゴールに歓喜し、セットプレー二つで追いつかれて、日本中がため息をついた同じころ、千葉県習志野市の住宅街で、逃げ惑うパジャマ姿の両親を、二十二歳の二男が包丁で刺殺、自分も胸を刺して死んだ。悲鳴を聞いて駆けつけた近所の人が立ちすくむ目前での惨劇だった
▼前日の朝、東京都杉並区の海洋学者宅が焼け、学者夫婦と三十三歳の長男の遺体が見つかった事件は、夫婦が失血死で、長男はガソリンをかぶって火を付けた無理心中の疑いが強まった。長男は米国留学帰りで、都内の会計事務所に勤めたが解雇され、引きこもりがちだったという
▼勝ち組負け組の議論は、サッカーなら憂さ晴らしにもなるが、求職難の格差社会で、働きたくとも条件が折り合わず、無業に甘んじてニートと呼ばれる若者を抱えた家庭では、冗談でも口にできない深刻な悩みであることを、この国の為政者はわかっているだろうか
▼猪口少子化担当相は会見で、こうした若者を、勝ち組負け組に対し「待ち組」と評して「戦わず、反省すべき」存在と決めつけた。小泉首相はこの発言を受けてメールマガジンで「挑戦しないで待っている人『待ち組』がいる」と書き、国会で「格差が出ることは悪いことではない」と言いきった
▼靖国参拝では自身の「心の問題」を押し通す首相だが、悩める親子の「心」には思い及ばぬらしい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20060601/col_____hissen__000.shtml
何の能力も無いのに条件ばかり高くしてもね。
働きながら自分のやりたい仕事に近づける手だってあるんだし、それって単に贅沢病。
ところで、この記事なんで靖国参拝が関係あるんだろう。