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対中韓外交*やっと対話が実現した(5月25日) 隣国同士でありながら、まず会って話をすることに第一の意義を求めなければならない外交は貧しい。日本と中国、韓国の関係は残念ながらそれが現実だ。 麻生太郎外相が韓国の潘基文(バンキムン)外交通商相、中国の李肇星外相と相次いで会談した。外相会談は韓国とは五カ月ぶり、中国とは実に一年ぶりである。 政治指導者が対話もできない異常事態が続き、冷え切っている両国との関係がさらに悪化することは何とか回避できたようだ。 しかし、関係改善の展望が開けたわけではない。 最大の障害となっている小泉純一郎首相の靖国神社参拝について、中韓両外相はあらためて中止を要求。李外相は「中国人民の感情を著しく傷つけ、両国の政治関係の基礎を損ねた」と厳しい言葉で批判した。 麻生外相は従来の政府の立場を説明して理解を求めたが、溝は埋まらなかった。日本の近隣外交をこじらせた靖国問題の根の深さが、ここからもうかがえる。 それでも韓国側は、周辺の海洋調査をめぐり海上衝突寸前の危機に陥った竹島(韓国名・独島)の領有権問題について踏み込んだ発言をしなかった。 中国とは安全保障対話の再開や経済・貿易交流の促進などで合意した。それぞれが「未来志向」の関係構築への意欲を示したとはいえるだろう。 三カ国の関係はアジアのみならず、世界的にも重要さを増している。 北朝鮮の核開発をめぐる六カ国協議では、いずれも重要なプレーヤーだ。世界経済のけん引役としての責任も大きい。 国連でも日本が安保理常任理事国入りを目指し、韓国は潘外交通商相が事務総長選に出馬表明するなど、それぞれの動向に各国の目が注がれている。 小泉首相の靖国参拝を憂慮する声は、中韓にとどまっていない。 米国では下院の外交委員長が下院議長に対し書簡で、首相が訪米時に議会で演説する場合は靖国に参拝しない保証を得るべきだと注文をつけた。国連のアナン事務総長は「靖国参拝がこの地域の緊張を増幅している」との懸念を表明した。 日本が国際社会で信頼される国であろうとするなら、こうした声に謙虚に耳を傾ける必要がある。 外相会談では、韓国とは竹島周辺の排他的経済水域(EEZ)画定交渉の六月開始、中国とは東シナ海のガス田開発協議の加速などでも一致した。 一方、国内外では、小泉首相が八月十五日に靖国に参拝するのではないかとの見方が広がっている。ここで参拝を強行すれば、せっかくの対話の機運を台無しにしてしまいかねない。 首相には国益を踏まえて慎重な判断を求めたい。 http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?j=0032