共謀罪 乱用の余地を残すな
犯罪を実行しなくても、何人かで話し合って合意しただけで罪になる。そうした「共謀罪」をつくろうという法案の審議が衆院法務委員会で始まった。従来の政府案に加え、与党と民主党がそれぞれ修正案を提出している。
麻薬や銃の密輸などの国際犯罪や暴力団犯罪の取り締まりを強めるのがねらいだ。もともと政府が組織的犯罪処罰法の改正案として提出していた。
これに対し、私たちは社説で、共謀罪の必要性を認めたうえで、「共謀罪の規定があいまいなため、組織犯罪だけでなく、市民団体や労働組合も対象にされかねない」と指摘し、「対象を絞って出し直せ」と主張してきた。日本弁護士連合会などは「思想の取り締まりにつながる」と批判していた。
与党と民主党の修正案は、こうした批判に応えたものだ。
共謀罪を適用するのは、暴力団などを想定し、「対象となる罪を実行することを共同の目的とする団体」に限定する。罪となるのは、共謀するだけでなく、下見をするといった「犯罪の実行に資する行為が行われた場合」という文言を加える。これが与党案だ。
政府案より対象を絞ろうとする姿勢は評価したい。しかし、条文はやはり抽象的でわかりにくい。拡大解釈の余地が消えたとは言えない。
それに比べ、民主党の修正案はすっきりしている。対象とするのは「組織的犯罪集団」とはっきり書く。対象となる犯罪は国際的なものに絞る。罪を問われるのは、共謀した者が犯罪の具体的な準備をした場合に限る。
国際的な犯罪集団に対象を絞ろうという姿勢が明確になっている。「自分たちも共謀罪の対象にされるのではないか」と心配する市民は少なくなるだろう。
政府はホームページで「共謀罪が適用されるのは、暴力団のような組織的な犯罪」「仲間で漫然と相談したり、居酒屋で意気投合したりするくらいでは共謀罪は成立しない」と説明している。
そう言うのなら、もう一歩進めて、民主党案のように「組織的犯罪集団」しか対象にしないとはっきり書き込むべきだろう。法律はいったんできあがれば、捜査当局によって都合よく解釈される恐れがある。それが怖いのだ。
ここは原点に戻って考えてみたい。そもそも共謀罪をつくろうという背景には、暴力団やマフィアによる国際犯罪に対抗するため、6年前に国連で採択された国際組織犯罪防止条約がある。日本も署名したが、加盟国になるためには共謀罪などの国内法を整備する必要がある。
この条約の本来の趣旨を生かすには、いくつかの国にまたがる組織犯罪に限定するだけで十分だろう。
共謀罪をつくるにあたっては、乱用の余地を残してはならない。国民の権利を大きく侵害しかねないからだ。対象を厳しく限定した民主党案を軸に、国会でじっくり論議してもらいたい。
http://www.asahi.com/paper/editorial20060428.html
共謀罪のことは良く分かりませんが、反対論を読んでいてもどうもイマイチぴんと来ない。
反対派のサイト
キョウボウザイってなんだ?
を読んでみましたが、うーん…。
共謀罪が適用とされる法律名・罪名
これを読むと、どれもそんな相談なんかするなよと突っ込みたくなるような罪状ばかりなんですが。