<首相靖国参拝>賠償請求を棄却 憲法判断はせず 松山地裁
小泉純一郎首相の靖国参拝は政教分離を定めた憲法に違反し、精神的苦痛を受けたとして、四国の宗教家や戦没遺族者ら86人が、小泉首相、国、靖国神社に1人1万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、松山地裁であった。沢野芳夫裁判長は「参拝による法的利益の侵害があったとは言えない」として賠償請求を棄却し、憲法判断や参拝の公務性についても言及しなかった。原告側は控訴する方針。
原告は、小泉首相が04年元日に行った参拝について、「特定宗教である靖国神社を公務で参拝し、憲法20条で定められた政教分離に違反する」と主張。被告は「閣議決定された公式行事ではなく、私人として参拝したにすぎない」としていた。
判決は、「小泉首相の靖国参拝で、原告らが戦没者慰霊の方法などに関して制約を受けたとは言えない」として訴えを退け、「それ以外の争点については判断するまでもない」として、過去の同種訴訟で判断が示されたケースもあった合憲性や職務行為かどうかの判断には一切触れなかった。
小泉首相の靖国参拝を巡っては、全国で同種訴訟が起こされ、判決は今回で12例目(地裁8、高裁4)。このうち、福岡地裁(04年4月)、大阪高裁(05年9月)が違憲判断を示した。また、原告らは01~03年の参拝についても提訴しているが、1審・松山地裁判決(04年3月)、2審・高松高裁判決(05年10月)が憲法判断を示さずに敗訴となったため、上告中。【津久井達】
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小泉純一郎首相は15日夜、靖国神社参拝をめぐる松山地裁の判決について「常識的だと思いますね。司法判断分かれていることが事実ですけど、私が参拝するのがなんで違憲か分かりませんね」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
首相が参拝しない所為で精神的苦痛をうけた、とかいうのはあり?