ソウルからヨボセヨ(もしもし)
須之部大使の忠告
須之部量三・元駐韓日本大使が亡くなられた。一九七七年から八一年まで激動期のソウルに駐在し名大使といわれた。一九七九年十月二十六日の朴正熙大統領暗殺事件や、その後の政治混乱の中での光州事件や全斗煥政権発足など、韓国情勢がきわめて難しい時代に的確な情報収集、分析を通じ日韓関係をうまく維持、発展させた。温厚な人柄に加え、韓国語の勉強など韓国との真摯な取り組みで韓国側の評価も高かった。
その須之部大使から言われた言葉が今でも記憶に残っていることがある。ぼくとしては語学研修を終え韓国と本格的に取り組もうとしていたころだったが、須之部さんは「韓国というところはねえ、足を二本とも突っ込んではいけないよ。必ず一本は外に出しておきなさい。そうしないとここは抜けなくなるところだからねえ」というのだった。
その意味は「日本人にとって韓国は入れ込みすぎると溺れてしまうから、いつ
もどこか冷静なところがないといけない」といった感じだったか。その時、ぼくは
冗談で「でも、男は足が三本あるので二本までは大丈夫じゃないですか」と笑い
ながら言ったことを覚えている。あれから韓国とのつきあいは四半世紀を超え
るが、あの言葉は今でも忘れられない。合掌。
(黒田勝弘) ソース:産経新聞(東京版)2月25日14版6面(国際面)
>「韓国というところはねえ、足を二本とも突っ込んではいけないよ。必ず一本は外に出しておきなさい。そうしないとここは抜けなくなるところだからねえ」
肝に銘じておきますです。