竹島と日韓:2・22を前に/1 強力な外交カードに/漁業問題の決着急務 /島根
県が昨年3月に条例で制定した「竹島の日」が今月22日に初めてやって来る。条例制定を巡っては、韓国側が強く反発し、慶尚北道が県に友好提携破棄を一方的に通告するなど波紋が広がった。友好断絶から約1年。識者らに「竹島問題」について聞いた。
◇強力な外交カードに--下條正男・拓殖大教授
島根県の「竹島の日」条例は、くしくも日韓基本条約締結から40年を迎えた「日韓友情年」の年に制定された。このため「せっかくの日韓友情に水を差す」という批判もあったが、これは誤りだ。なぜなら、日韓友情年と竹島の日は表裏一体の関係にあるからだ。韓国が「李承晩ライン」を引いて竹島の領有権を主張するのは、1952年に日韓国交正常化交渉が始まったわずか1カ月前のこと。しかし、当時の日本政府はこの問題を棚上げしたまま国交正常化を優先した。日本側が竹島問題に関して何の反論も行わないのは、すべてこの時点に起因する。
こうした歴史的経緯を無視して、ただ「ヨン様」「韓流」などと表面的な韓国ブームばかりをアピールするのは全く無意味だ。互いの誤りをきちんと指摘し、異なった歴史認識を乗り越えてこそ、対等な隣人関係を築くことができる。
これまで弱腰だった日本外交にとって、竹島問題は強力な外交カードになりうる。なぜなら、竹島は単なる「島」であり、従軍慰安婦問題などとは異なり、被害者が存在しない。そのため誰も傷つけることなく、歴史的な資料や文献に基づいた極めて客観的な議論が可能だからだ。
韓国は、「竹島の日」条例が制定された直後の昨年4月、竹島問題を専門的に調査研究する廬武鉉(ノムヒョン)大統領直属の組織を発足させ、国民啓発を着実に推し進めている。島根県も昨年6月に「竹島問題研究会」を設置したが、本来なら、政府が責任を持って、竹島問題に関する理論構築を担わなければならないはずだ。
「竹島の日」制定は、これまで中韓に絶えず従属的だった日本外交にとって、例えるなら明治維新のような新たな変革をもたらすきっかけになるだろう。日本側の反論がすべて「妄言」と片付けられてきた状況では、韓国との外交はまさに取り付く島もなかった。今はようやく、取り付く「島」が出来たのだから。【構成・酒造唯】
◇漁業問題の決着急務--井上厚史・県立大教授
県立大には北東アジア地域研究センターがあるが、「竹島の日」条例の制定で韓国・慶北大との交流が破棄され、活発だった学生や研究者同士の交流が途絶えた。これまで積み上げてきた学問の蓄積が生かせず、交流を続けている他大学との格差が広がっている。
制定に至った背景には漁業問題があるとは言え、領土問題は国家の領域。地方自治体が踏み込める問題ではない。県は漁業問題の決着に集中すべきだ。
日本は古代から朝鮮半島と緊密な関係を持つが、1905年に日本政府が竹島を領土に編入するなど問題が生じ始めたのは近代以降といえる。今回なぜ韓国が竹島でここまで強硬姿勢を取るのかを考えてほしい。1905年は、日露戦争で日本が勝利し半島の主導権が日本へ渡った節目の年であり、竹島は日本の植民地支配の象徴である。そうした歴史がどこまで踏まえられているのか。
県は今後の姿勢を示す必要がある。領土問題の解決なら、韓国に領有権を主張するのではなく外務省への働きかけが必要。漁業問題の解決や交流再開ならば、まず条例撤回が条件となるはずだ。
県はこれまで長く韓国側と姉妹提携など関係を築いてきた。その県だからこそ出来る事を考えてほしい。その一つが条例の見直しであり、水産行政の見直しを含めた漁業問題の決着だ。
韓国は対等性、大義名分を重んじる。漁業問題の解決にはトップ同士の会談が必要であり、両国漁業関係者の支援を最優先にして友好関係の修復を働きかけるべきだ。
「竹島の日」制定を巡っては、韓国側の反発など県が学んだことは多かった。事態を適切に乗り越えることで、今後は日本の中でも韓国を熟知している県として生まれ変わることも可能だ。
県民の将来がかかっている。将来への展望を持ち、冷静に何が得策かを考える時期に来ている。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/shimane/news/20060214ddlk32030472000c.html
>歴史的な資料や文献に基づいた極めて客観的な議論が可能
かなり認識が甘いと思うが…
とにかく、頑張ってください。