相互理解求め「反日」
中国で「反日」を叫ぶ人たちの間で、英雄として語られる男がいる。馮錦華(フォンチンホウ)さん(35)。北京の広告会社に勤め、郊外の分譲マンションに妻(34)と長女(4)の3人で暮らす。
反日的な若者らに影響力を持つ「中国愛国者同盟」の中心メンバーだ。
04年には日中間で領有権を争う尖閣諸島・魚釣島に上陸し、沖縄県警に出入国管理法違反容疑で逮捕された。今は、東北部の黒竜江省で起きた旧日本軍の遺棄化学兵器の被害者救済を訴え、寄付金集めに奔走する。
小泉首相の靖国神社参拝などをきっかけに、日中間は今、かつてない緊張状態にある。中国側で反日運動を主導する人は何を考え、何を求めているのか。
北京の馮さんのもとを訪ねた。勇ましい反日の闘志のイメージ持っていた私の前に現れたのは、日本語が滑らかな紳士だった。
実は日本滞在が8年間に及ぶという。
内陸部の山西省出身。法律を勉強しようと94年に来日した。印刷工場で働きながら日本語学校に通い、大学で法律を学んだ。
東京都内の国際電話会社に就職した。同級生やバイト先で日本人の友人ができた。飲み会も楽しかった。日本の若者の多くが中国での旧日本軍による行為に無関心な事に違和感を感じたが、友人関係がぎくしゃくすることを恐れ、戦争の話題をできるだけ避けるよう心がけた。
01年8月、小泉首相が靖国神社に参拝。中国から反発の声が上がったが、日本のネット上には正当化する発言があふれた。
「どうして中国人の気持ちがわからないのか」。国交正常化以降の日中友好ムードの中で育ち、日本に愛着があっただけに裏切られた思いだった。怒りがこみ上げ、抗議の声をあげようと決めた。
靖国神社のこま犬の台座に「死」「ね」のスプレー書きした。逮捕され、器物損壊罪で有罪判決を受けた。
在留ビザがなくなり、翌年帰国。祖国では勇気をたたえる声が相次いだ。年老いた戦争被害者からの支持も多かった。「この被害者の思いを日本に伝えねば」と思った。
中国では今、市民も政府に対日強硬策を求める。「反日なら何でもよし」の雰囲気が広がる。一昨年にはサッカー・アジアカップで反日感情が日本チームにぶつけられた。昨年4月には北京や上海などで大規模な反日デモがあった。
尖閣諸島の領有権を主張する「中国民間保釣連合会」会長の反日活動家童増(トンツォン)さん(49)は「政府が抑えつけない限り、デモはまた起こる」という。
一連の現場に身を置いてきた私は、彼らから敵意と恐怖さえ感じた。そう指摘すると馮さんはちょっと考えて「残念だ」と言った。
馮さんに対して人々が抱くイメージと、馮さん自信が考えている自分の姿とは明らかにギャップがあるようだ。
中国では日本人と言えば、ニュースで繰り返される靖国参拝や抗日戦争のドラマの印象が強い。画一的な日本人像への反発がネットを通じて増殖する。日本への敵意を膨らましている扇動家の一人が馮さんだと、多くの人が考える。
実際、北京でのデモの際にも、若者に対する影響力を警戒する公安当局によって馮さんは外出を止められてしまった。
しかし、彼自身は極端な反日に違和感を感じると言った。「青春時代を過ごした日本と日本人を、私が嫌いになれるわけがない」。北京のデモでは参加者の行為が過激すぎると感じ、諭そうとさえ考えたという。
彼は今、愛国者同盟のサイトに「普通の日本人」を紹介したり、日中の若者らが交流したりするコーナーを計画している。日中関係の基礎には相互理解が不可欠であり、自分の反日行動もそのための一つの手段だと信じているようだ。「日中の壁を壊して、わだかまりなく日本とつきあえるようになりたい」と屈託なく話した。(塚本和人)
本日の朝日新聞より
靖国に「死ね」と書けば戦争被害者の思いが伝わると考えているとしたら、相当な馬鹿だな。
その行為からは敵意しか感じないし、彼は間違いなく煽動者だ。
私はそんな人間との交流も相互理解も求めない。