韓国大統領「対日カード」効果消失
経済面の無策で人気急落/首脳会談の扱いも小さく
【ソウル=久保田るり子】日韓関係は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝、歴史認識問題、竹島問題の“3点セット”を「韓国への挑戦」と断言した盧武鉉大統領の強硬姿勢で、「首脳外交は凍結状態」となった。だが、過去に韓国では支持率上昇に効果的だった盧大統領の対日強硬カードも、今回は人気度に貢献せず注目度も低かっただけでなく、大統領の「過去への固執」を憂慮して「日韓には協議すべき問題が多々ある」などといった指摘も出ている。
対日カードで盧大統領の支持率が急上昇したのは、今春の「竹島(韓国名・独島)問題」のときだ。島根県議会の「竹島の日」制定に対する謝罪要求をはじめ、対日強硬姿勢を声明で発表するなどして世論の支持を集め、30%前後だった支持率を一気に50%近くに引き上げた。
しかし、その後は日本統治時代の対日協力者を調査する「反民族行為真相究明特別法」を成立させたものの、“歴史の清算”へのこだわりばかりが目立つ一方で、不動産政策など経済面での無策ぶりに批判が高まり、20%近くに急落。さらに野党ハンナラ党に「大連立」を申し入れたことが国民の失望を買って、九月には20・6%(韓国社会世論研究所)の最低支持率を記録していた。
釜山のアジア太平洋経済協力会議(APEC)での日韓首脳会談は、韓国国内ではあまり大きく報じられなかった。
胡錦濤国家主席、ブッシュ大統領と連日続いた大国との首脳会談のせいもあるが、「靖国問題で盧大統領が強く出るのは予想の範囲内だった」(陳昌洙・世宗研究所首席研究員)ためだ。APEC中の支持率は20%台後半。やや上昇したのは、議長としてのアピール度が加わったためとみられる。
韓国で靖国問題に関心が集まらないのは「独島(竹島)問題は領土問題だけに愛国心を強く刺激するが、靖国問題への一般的な国民の関心はぐっと低い」(同)ためだ。また「盧政権は政権運営にさまざまな問題を抱えており、昔のように反日姿勢だけで支持率が上がる状態ではない」(大手新聞論説委員)との見方や、「日韓が一緒に解いていかなければならないことがいかに多いか。それなのに両国政府は相変わらず過去に縛られている」(中央日報)という批判も出た。
小泉首相の今年十月の靖国神社参拝後、盧武鉉政権は「必要不可欠な外交」と「選択可能な外交」の“二元外交”の考え方を発表した。APEC首脳会談は議長国として「必要不可欠外交」で実現したが、十二月のシャトル外交は「選択可能外交」としてキャンセルする方向だ。
韓国メディアは「もし盧大統領が年内訪日を決めたら対日譲歩であり大ニュース」とみる。支持率上昇に貢献しなくても、さらなる低迷を避けるために、盧大統領は対日強硬路線の旗を降ろすわけにはいかないようだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051126-00000027-san-int
>「対日カード」
そんなものにしがみついて国を運営している方がおかしい。