テレビ局の安全軽視制作慣行が深刻化
テレビ局の怠慢な制作慣行がさらに深刻化している。外部制作会社の番組収録で、出演者が危険な目にさらされるということが当たり前のように行われており、こうしたお粗末な制作慣行に対し、番組を受注した側のテレビ局は、終始傍観に徹している。
コメディアンのチョン・ジョンアさん(28)が今月初め、コロンビアのアマゾン川流域でKBS第2テレビの「挑戦、地球探検隊」を撮影中、5メートルを超える大蛇アナコンタにかまれる事故に遭っていたことが確認された。KBSはこれまでのところ、チョンさんの保険加入の有無さえ把握できていない。
コロンビアのヤルボ族の生活を体験するため、8月22日から3週間の日程で撮影のために現地を訪れ、10日に帰国したチョンさんは14日、本紙との電話インタビューに答えた。
チョンさんは「8~9日前、先住民たちと一緒にアナゴンダを捕りに行くシーンを撮影していて、本物のアナコンダが現れ、右前腕にかみ付いた。この時、アナコンダの牙が腕に刺さり、急いで腕を離したが、監督が「(映像を撮るため)牙をもう一度入れてみろ」と言うので、1~2秒の間、血がドクドク出ている傷口に牙をもう一度入れて撮影した」と話した。
チョンさんは事故直後、先住民の民間療法で治療を受けたが、「病院に行く」と主張し、近くの病院で抗生物質による治療を受けた。事故を目撃した先住民たちは驚いて通報し、警察が現場に駆けつけたと伝えられた。
チョンさんは、事故後も踊りを踊るシーンなど2~3日間撮影を続け、その後帰国した。帰国後、チョンさんはサムスンソウル病院で「アナコンダは毒がないが、野生動物の牙にかまれた場合、破傷風になる危険がある。症状が表面化するまで潜伏期間があるため、1か月間様子を見守らなければならない」という診断を受け、不安な日々を過ごしている。
チョンさんは出国前、マラリアと黄土病の予防接種を受けたが、破傷風の予防接種は受けていなかった。
芸能人たちが世界各地の辺境の地で現地の体験をするという番組の性格上、「挑戦、地球探検隊」は事故の可能性が極めて高い。1999年9月には、中堅タレントのキム・ソンチャンさんがラオス辺境でのロケから帰ってきた後、脳性マラリアに感染し、死亡した。
しかし、この事故の後も、KBSによる外部制作会社の管理は全く改善されていないことがわかった。KBSの担当プロデューサーは、チョンさんの保険加入さえ把握できないでいる。
番組を担当しているキム・ヨンムク担当プロデューサーは、「外部制作会社のプロデューサーたちに、ロケ出発前に保険契約書のコピーをこちらに送って来るように指示しているが、時間に追われるプロデューサーたちがそのままロケに出かけることがある」とし、「チョンさんの場合も、担当プロデューサーが保険のコピーを送ってこなかったので、保険加入の有無がまだ確認できていない」と話した。
テレビ局が保険加入の責任を外部制作会社に押しつけるのは、安く上げようという外部制作会社の無責任な対応ぶりを黙認するものだ。
KBS によると、外部制作会社が加入する保険は「短期旅行者保険」。これに対し、現代(ヒョンデ)海上保険のチョン・ソンフン課長は、「一般企業でも、出張する職員のために傷害保険に加入する。旅行者保険は傷害保険に比べ、保険料が安い代わりに補償の範囲が狭く、危険地域に行く場合には、傷害保険に入るのが望ましい」と話した。
KBSはまた、芸能人の安全管理に関連し、担当プロデューサーが外部制作会社のスタッフや芸能人に、海外出国前、口頭で1~3時間教育を受けさせること以外には、特段措置を取っていないという。
キムプロデューサーは、「キム・ソンチャンさんの事故後、出国前に1度教育を受けてもらっているが、外部から専門家を呼ぶのではなく、私が直接担当している」と話した。テレビ局は、「予防接種を受けるよう強調している」としているが、予防接種に関する強制規定はない。
公営放送KBSをはじめ、地上波放送で芸能人の収録中の事故が多発している。
昨年9月には、声優チャン・チョンジンさんがKBS『日曜日は101%』の録画中、餅を食べるゲームをしていて餅がのどにつかえ窒息死しており、2002 年にはSBS『良い友達』を撮影していたアイドルグループ、神話(シンファ)のチョンジンがタンブリングをしていて、顎から落下し意識不明になる事故にあった。
KBSのある女性リポーターは、「状況を面白可笑しくするために、小学校の柔道部の生徒と冗談半分で試合をして、床に投げ飛ばされて足の指をひねり、足がパンパンに腫れ上がって歩けなくなったことがある」とし、「番組録画中の事故だが、治療費は全て私が負担した」と話した。
韓国放送演技者労働組合のキム・ヨンソン副委員長は、「トップスター以外の出演者を“使い捨て”と考える風潮は、依然改善されていない」とし、「事故が起きてしまったときに補償するだけで、出演者たちの保険問題についても、予算などを理由に適切な対応は取られていない」と話した。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/09/15/20050915000032.html
日本の芸能界でもこういう体質はあるんだろうけれど、さすがにアナコンダの牙を傷口に入れなおせとまでは言わないと思うなあ。