「整形手術で人生勝負」 整形大国の汚名も
「ボトックス(BOTOX)」と呼ばれる筋肉まひ注射は昨年、国内に9万20本、輸入された。2001年に比べ295%増えたもの。
「ボトックス」1本は、整形外科や皮膚科などで平均80万~100万ウォンほどの手術費を受け取り、顧客たちの「シワ」を伸ばしている。
イジハム化粧品のキム・ヨンソン社長は「ボトックスの効き目は平均で約6か月」とし、「1度注射し始めれば、若くありたいという願望のため、その後も続けて注射するようになる」と話した。
ソウル整形外科のイ・ミング院長は「ボトックスは中年女性だけではなく、若返ることで長く勤務できると考える40~50代の男性たちの間でも人気」と説明した。
国内広告市場の規模は84年の6833億ウォンから昨年は6兆6647億ウォンと、20年で爆発的な成長を遂げた。広告市場が巨大化したことで、芸能プロダクションもともに成長している。
芸能プロダクションは、自分たちの主力「商品」である芸能人を「オルチャン(美形の顔)」や「モムチャン(抜群のスタイル)」に仕立て上げるため、整形とスタイル作りに巨額を投資する。
現在8人の芸能人が所属しているK芸能プロダクション代表は、「芸能人志願者1人を育て上げるのに、整形手術など1年に1億ウォンほどかかる」とし、「それでも、われわれの投資は少ない方」と語った。
芸能プロダクションは主に取引する整形外科をはじめ、メーキャップ美容室などの院長たちを大勢引き連れており、国内ビューティー業界の重要な核を成している。
芸能プロダクションがデビューさせる新人は年々若返る傾向にあり、青少年たちの容姿という概念に、大きな影響を及ぼしている。
テレビを見ている青少年たちは、芸能人としてデビューした同年代の若者を見て、自分もあれ位きれいでスマートにならなければならない、という思いに駆り立てられるのだ。
今年中3のチョ・ウンジ(京畿(キョンギ)道・一山(イルサン)区/女子)さんは「勉強はできなくてもいいけど、顔が美形でないと、友だちから抜け者にされることもある」としながら、「つま弾きに遭いたくなければ、ある程度は着飾る必要性がある」と話した。
昨年末、大邱(テグ)のチョンロ神経精神科医院には、ある小学4年生が訪れた。あごを削ってほしいと言っては頑として譲らず、自分の容姿のため、うつ病の気配までうかがえた。
この生徒は「四角い顔のため、友だちから無視される。女の子たちも自分に関心を示さない」と整形手術に固執、精神科の治療から受けなければならない状態だった。
不況知らずのまま巨大化していったビューティー業界の“陰”の部分といえる。ビューティー業界の暗い側面が目立っている訳は、「容姿が人生の勝敗を決める」という暗黙の了解が成り立っている部分から見い出すことができる。
朝鮮日報と太平洋(テピョンヤン)が最近調査したところによると、86%が「美しい容姿は競争力」と答えた。
「競争」から脱落しないためには、10代と20代は芸能人さながらの容姿を作り上げようとし、大人たちは張りのある素肌と美しいプロポーションを求めるというのだ。
現代(ヒョンデ)百貨店の場合、2001年夏全体で行われた400~500の文化講座のうち、容姿とスタイル管理に関する講座はわずか10個あまりに過ぎなかった。しかし、今夏は40~50講座に増えた。
高麗(コリョ)大学社会学科のイム・インスク教授は、「美しさを追い求めるのは本能といえるが、美しい容姿の条件を具体的に指摘するようになったのは最近のこと」としながら、「自分の体に投資しなければならないという認識を、マーケティングで植え付けているのが問題」と指摘した。
女性学者のチュ・エジュさんは「最近では男性にも容姿至上主義を強要するなど、範囲や度合いが深刻化している」としながら、「容姿だけではなく、内面の本当の美しさについて教える教育がより重要だ」と話した。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/09/08/20050908000031.html
整形を完全に否定するわけではないけれど、病んだ社会ですね。