<靖国参拝>遺族会見解に、小泉首相はあくまで自ら判断
小泉純一郎首相の靖国神社参拝をめぐり、日本遺族会の幹部会が「近隣諸国への配慮が必要」との見解をまとめたことについて、首相は13日夕、記者団に「私は人に言われて参拝しているのではない」と語り、あくまで自ら判断する考えを強調した。しかし、首相が01年の自民党総裁選で遺族会に参拝を確約し「公約」になった経緯があるだけに、政府・与党内には「参拝継続方針に影響が出る」(自民党幹部)などと波紋が広がった。
「あまり靖国、靖国と言わない方がいいんじゃないですか」
首相は「適切に判断する」と従来発言を繰り返した後、追加質問にいら立ちを隠さなかった。同日昼には「いつも(近隣諸国に)配慮している」とだけ答えた。細田博之官房長官は記者会見で「意見として報道で承知している」と具体的な論評を避けた。
ただ、首相周辺には「靖国あっての遺族、遺族あっての靖国だから、非常に重い見解」との指摘がある。政府関係者は「遺族会として首相に『頭を低くしろ』というメッセージだ」と語り、今後の首相の判断を左右するとの見方を示した。これまで中国などの反発や自民党内の自重を求める声に対しては「首相は誰の意見にも動かされない」との声が強かっただけに、遺族会の見解の重さが目立った形だ。
一方で、この見解について「遺族会会長である自民党の古賀誠元幹事長の意向が強く働いた」との見方も強い。武部勤幹事長は会見で「会長の古賀先生の発言だと思う。遺族会として首相に負担をかけたくないという配慮の弁だと思うが、首相は首相の考えで適切に判断されると思う」と述べた。【中田卓二】
この場合の近隣諸国への配慮とは具体的に何をさすのか聞いてみたい。