「外交部に親米派はいない」
外交通商部・公報担当者は18日記者団に対し「外交部には親米派がいない」と弁明した。外交部はまた、「外交部当局者が、大統領の北東アジア・バランサー論を“詭弁”と評した」と報道したメディアに対し長官名義の抗議公文を提出し、問題の発言者を突き止めるため、課長クラス以上の幹部を調査した。翌日には大統領府のスポークスマンが、大統領の指す親米韓国人とは「米国に留学し、英語を流暢に話す韓国人」だと説明した。
最近、米国を訪問した外国部の核心関係者は「(盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が明らかにした)北東アジアのバランサー論は、伝統的なヨーロッパ式の勢力バランサー論とは違うと説明したところ、米国の関係者も理解した様子だった」と伝えた。この関係者は国内の放送に出演し、「北東アジアバランサー論の意味するところは、我々外交部がきちんと汲み上げ、国民に伝えねばならず、それは我々の役割でもある」と述べた。
国際社会において100年以上に渡り存在してきたバランサー論について、韓国大統領が提起したものが本来の概念と異なる独創的な解釈であるため、それを国内外に説明しようと外交部が苦心している様子が伝わってくる発言だ。
この事件は現在の大韓民国、その中でも外交部の雰囲気、さらに外交部が推進する外交姿勢の概要を伝えている。まず大韓民国、特に外交部では親米派であると決めつけられたら将来がないということだ。
世界の様々な国の外交部は数十年に渡って“米国通”や“中国通”、“日本通”のような特定国家担当の専門家を育成している。例えば、対中関係が極度に硬直する場合、中国の立場から「話が通じる」とみなされる中国通が折衝すればこそ、解消の道が開けるからだ。韓国も大韓民国樹立後、このような専門家を育てるため、足りない国家予算を割り当てて尽力してきた。
しかしこのような米国通の人々は今後、肩身の狭い思いをしなければならなくなった。万一、米国通があだとなり“親米”だと決めつけられてしまうと、立つ瀬がなくなるからだ。大韓民国の外交部が、50年間同盟を結んできた国家に対し「その国寄りの人は外交部にはいない」と釈明しなければならない状況にあるのだから言うまでもない。
盧大統領が「博識な韓国人のうち、米国人よりも親米的な人がいる」との発言後、このような趨勢が強まっている。文化革命の際に中国外交部の職員の一部が親米や親英だと名指しされ、受難の時期を迎えたのを除けば、現代では世界的に前例を見つけることも難しいようなことが大韓民国で起きているのだ。
潘基文(パン・キムン)外交通商部長官が先日、「外交部の対処能力が不足している局面に、大統領が明快な指針を与え、今後進むべき道を示してくださったことに深く感謝している」と述べたことについて、批判や異論が続出した。
しかし何かにつけ外交部が粛清の対象として挙げられる現政府の雰囲気をよく知っている人々は、「組織を維持せねばならない監督者の立場にあって、このような言動をするしかないのは、それだけ実感している脅威が並大抵のものではないからだ」という同情論が出る程になった。
大韓民国がなぜこのような状況に陥り、そして結局どこへ向かっているのか、懸念せざるを得ない。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/04/19/20050419000065.html
そういえば去年、光秀君がアメリカとのパイプを持つ外交官が軒並み首を切られていると嘆いていたなあ。