人権擁護法案 公明が一転、慎重対応 自民推進派は窮地 世論配慮
自民党内で賛否が分かれる人権擁護法案をめぐり、今国会での成立を強く求めてきた公明党が一転、慎重姿勢を強めつつある。これにより古賀誠元幹事長ら自民党の推進派が厳しい状況に追い込まれる一方、安倍晋三幹事長代理ら反対派は、学者・文化人らと連携し反対運動をさらに盛り上げる構えだ。民主党も四月中に独自案提出の方針を表明し、同法案をめぐる駆け引きが激化している。
「いい知恵があったら教えてくれ」
三十日夕、与党人権懇話会の自民党側メンバーらとの会合を終えた古賀氏は、記者団にこう言い残して党本部を去った。
会合では、反対派を説得する“理論武装”のため法務官僚から意見を聴いたが、結論は出ず、来週初めにも再び会合を開くことになった。党法務部会はいまだに開催のめどが立っていない。
古賀氏らが窮地に陥った原因は、公明党が慎重姿勢に転じたことが大きい。これまで古賀氏らは「法案を提出できないと連立の信義に反する。四月補選にも影響が出る」と、反対派の説得を続けていただけに、ハシゴを外された形になった。
ある公明幹部は方針転換の理由について、「別に断念したわけではないが、自民がまとまらない限り無理だ」と説明する。だが、実際には同法案への世論の風当たりが予想以上に強かったため、「公明党が無理強いしているとみられるのは得策ではない」との判断が働いたとみられる。
予兆はあった。二十八日の政府・与党連絡協議会後、公明党の東順治国対委員長が安倍氏を呼び止め、「(法案は)どうか」と持ちかけると、安倍氏は「自民若手は、理をもって反対している。党執行部で押し切ることはできない」と説明。東氏は「そうか。公明も無理は言わない」と応じた。
反対派は「多少の修正では法案への懸念は払拭(ふっしょく)できない」(自民中堅)との立場から、党内の多数派工作より世論の喚起に力点を置いている。来月四日には、学者や市民団体とともに日比谷公会堂で緊急集会を開き、法案の問題点をアピールする。
一方、これまで与党内の対立を静観していた民主党も“参戦”。仙谷由人政調会長は三十日の会見で「人権を擁護する法律は必要だ。大型連休までに独自案を出す」と述べ、メディア規制条項の削除や人権委員会の内閣府外局化などを柱とする法案をまとめる考えを示した。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/31pol001.htm
世論が反対するからと言って辞める程度の信念だったなら、最初から推進するな。