16日行われた盧武鉉(ノムヒョン)大統領と毎日新聞との会見の主なやりとりは次の通り。
《日韓関係》
――来年の日韓友情年は、国交回復から40年、韓国からみれば解放から60年を記念する重要な年です。日韓の政治家や国民はどのような姿勢で臨むべきですか。
◆来年は、もうひとつ意味がある。(日本が韓国を保護国化した1905年の)第2次日韓協約が結ばれてから100年だ。日韓関係において、過去と未来が持つ意味が包括的に含まれた特別な年だ。現在は、過去の歴史を克服し、建設的な未来を築いていこうとする意思を持つべき時代だ。悪い方向に逆行しないよう、何をなすべきか、(日韓の政治家と国民は)より深く考え認識を整理する必要がある。
日韓関係にとって最も重要なことは、寛容と信頼だ。両国の国民感情を逆なでする事件が起きることもあるが、感情的な対立に発展させないよう寛容の姿勢が必要だ。
感情を刺激し、信頼を害する行為のひとつが、時折、政治家が国民感情を害する発言をすることだ。政治家は、政治的利益のために国民感情を利用せず、未来に向け国民を誘導することが必要だ。
隣国に対する寛容な態度、謙そんは、「強大国」にのみ可能だ。日本は、自他ともに認める「強大国」だ。謙そんし寛大な韓国も重要だが、謙そんし寛大な日本のほうが重要だ。
《北朝鮮制裁論》
――北朝鮮から、拉致被害者の横田めぐみさんらの遺骨として提供された骨が別人だったと判明し、日本国内で制裁論が高まっています。
◆今回の遺骨事件は、結果自体が日本国民に大きな衝撃を与えたと考える。私は、北韓(北朝鮮)の意図がどこにあるのか、まったく理解できない。すべての行為には公開された意図、隠された意図があるのが常だが、今回の行為は想像を絶する。もしかしたら意図された行為というより、過ちやミスで起きたのではないかとさえ考える。
日本国民が衝撃を受けていることは理解するが、その対応にあたっては、より深く観察する必要がある。過ちやミスであれば、適切な解明を通じて誤解を解くことが大事だ。悪意によることが確実になった場合には、制裁もありうると考える。
そういう意味において、小泉純一郎首相、日本政府がこの問題について慎重に冷静に対処していることは、適切な対応だと評価したい。
◇北朝鮮と忍耐強く対話を
《北朝鮮の核問題》
――北朝鮮の核問題解決に向け、韓国が主導的な役割を果たすための具体策はありますか。
◆核問題は韓(朝鮮)半島の安全保障とともに非核化合意にかかわるので、南北間の問題であると同時に、核大国が主導する秩序にかかわる。
(この問題は)米朝関係を中心に動いており、主導的な役割を米国が握っているのは明らかだ。
しかし、解決に至る途中で発生しうる状況は、韓国国民にとって生存がかかる深刻な問題だ。解決のプロセスで、韓半島の未来と韓国国民の利害が無視されてはならない。これまでの米朝交渉では、韓国の立場は十分に反映されてこなかった。
6カ国協議のプロセスでは、韓国の立場、韓国国民の利害関係が反映されるという意味で、韓国が主導的、積極的な役割を果たしたいと考える。
《対話と圧力》
――北朝鮮への対応は、対話と圧力のどちらが重要だと思いますか。
◆米国の一部には、平和的解決を望んでいるが、不可能なら圧力を加えざるを得ないと強硬手段を強調する意見がある。しかし、まず対話を優先するという点においては異議を唱える人はいない。
強硬手段や圧力によって問題を解決するのは難しいのではないか。無理に強硬手段で解決しようとすれば、大きな後遺症が残る。
対話の可能性について、私は強硬論者と異なる認識を持っている。より忍耐心を持って真摯(しんし)に話せば解決できると思う。もちろん交渉では譲歩も必要だ。譲歩したとしても、圧力あるいは武力による解決手段よりもいい結果が出るだろう。
しかし、話し合いが通じないこともある。その際には、やむを得ず圧力を選択することもありうるが、圧力行使において効果的なのは、中国とロシアが加わることだ。中露は北韓の核保有に絶対的に反対しているので、北韓が行き過ぎた態度をとれば、参加してくるだろう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041217-00000038-mai-int
強大国でない韓国大統領が、強大国日本の寛容を求めています。
普通寛容を求めるのは、非がある側だと思いますが、実は認めているんですか?