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君が代訴訟についての社説を集めてみました。
まずは朝日新聞

国歌伴奏判決 強制の追認にならないか

 入学式の君が代斉唱で、ピアノの伴奏を校長から命じられた小学校の音楽教師が、「君が代は過去の侵略と結びついているので弾けない」と断った。教師はのちに職務命令違反で東京都教育委員会から戒告処分を受けた。

 教師は「処分は、憲法で保障された思想、良心の自由を侵害するもので違法だ」として、取り消しを求めた。

 最高裁はこの訴えを認めず、処分は妥当だとの判断を示した。「公務員は全体の奉仕者。学習指導要領で入学式などでの国歌斉唱を定め、ピアノ伴奏はこの趣旨にかなうから、職務命令は合憲だ」

 君が代のピアノ伴奏は、音楽教師に通常想定されている。ピアノ伴奏を命じることは、特定の思想を持つことを強制したり、禁止したりするものではない。そんなことも最高裁は指摘した。

 たしかに、入学式に出席する子どもや保護者には、君が代を歌いたいという人もいるだろう。音楽教師が自らの信念だといってピアノを弾くのを拒むことには、批判があるかもしれない。

 しかし、だからといって、懲戒処分までする必要があるのだろうか。音楽教師の言い分をあらかじめ聞かされていた校長は伴奏のテープを用意し、式は混乱なく進んだのだから、なおさらだ。

 5人の裁判官のうち、1人は反対に回り、「公的儀式で君が代斉唱への協力を強制することは、当人の信念・信条に対する直接的抑圧となる」と述べた。この意見に賛同する人も少なくあるまい。

 今回の判決で心配なのは、文部科学省や教委が日の丸や君が代の強制にお墨付きを得たと思ってしまうことだ。

 しかし、判決はピアノ伴奏に限ってのものだ。強制的に教師や子どもを日の丸に向かって立たせ、君が代を歌わせることの是非まで判断したのではない。

 89年、卒業式や入学式で日の丸を掲げ、君が代を斉唱することが学習指導要領に明記された。99年には国旗・国歌法が施行された。

 君が代斉唱のときに起立しなかったなどの理由で、多くの教師が処分されている。特に東京都教委の姿勢が際立つ。日の丸を掲げる場所からピアノ伴奏をすることまで細かに指示した。従わなければ責任を問うと通達した03年以後、処分された教職員は延べ300人を超える。

 生徒が歌った君が代の声の大きさを調査する教委まで出てきた。

 これに対し、処分の取り消しなどを求める訴訟が各地で起きている。

 私たちは社説で、処分を振りかざして国旗や国歌を強制するのは行き過ぎだ、と繰り返し主張してきた。

 昨年12月、教育基本法が改正された。法律や学習指導要領で定めれば、行政がなんでもできると読み取られかねない条文が加えられた。

 行政の行き過ぎに歯止めをかけるという司法の役割がますます重要になる。そのことを最高裁は改めて思い起こしてもらいたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html


次 毎日新聞

社説:君が代判決 「お墨付き」にしてはいけない

 入学式で君が代のピアノ伴奏を拒否して東京都から懲戒処分を受けた小学校教諭が「思想・良心の自由を保障した憲法に反する」と処分取り消しを求めていた訴訟で、最高裁は教諭の主張を退け、上告を棄却した。

 日の丸・君が代と内心の自由をめぐる一連の訴訟で最高裁が判断を示したのはこれが初めてで、判例として今後に影響を与えることになる。しかし、本来教育のありようや運営法は司法が決するものではない。行政当局が安易に「これでお墨付きを得た」とばかり一律の統制を強化するようでは、ますます亀裂や混乱を深めることにもなろう。

 この教諭は99年4月、伴奏を校長から命じられたが、「君が代は過去のアジア侵略と結びついており、公然と歌ったり、伴奏することはできない」などという考え方から拒み、式場で弾かなかったため、戒告を受けた。

 裁判で1、2審は「公務員は全体の奉仕者で、思想・良心の自由も職務の公共性を理由に制約される」という判断に立って教諭の訴えを退けた。最高裁もこれを踏まえながら「ピアノ伴奏を求める職務命令がただちに教諭の歴史観や世界観を否定するものではない。思想・良心の自由を侵して憲法に反するとはいえない」とし、命令が内心に踏み込むものではないという判断を示した。

 しかし、学校教育現場の視点からいえば、この判断を絶対的な物差しにすることには無理がある。ケースによって状況はさまざまだ。例えば今回、教諭は式前日から「伴奏はできない」と校長に答えていたが、ならばその裁量でもっと柔軟に対応し、解決する手立てはなかったのか。

 また、判決は、公務員としての職務命令服従の必要はいうが、無制限に強圧的な命令を認めているわけではない。

 東京都は03年秋、卒業式・入学式などでの国旗掲揚・国歌斉唱の形式について細かに指示した通達を出し、拒否者を相次ぎ懲戒処分にしている。これに対し教職員が「通達は違憲」と訴えた裁判で東京地裁は昨年これを認め、「通達は不当な強制に当たり、思想・良心の自由を侵す」と断じた。

 「正常化」を名目に一律に抑え込むような処分は、殺伐とした空気を生むだけになりかねない。その時、しわ寄せをこうむるのは敏感な子供たちである。

 現在教育政策では、教員免許更新制、教育委員会改革などをめぐって議論が続いている。特に教委については国の権限強化について学校教育現場を抱える自治体や教委などから反発や疑問、不安が次々に出て、国側と対立している。

 それは地方分権に反するというだけではないだろう。「上」からの締め付けが最も効果的ととらえるような空気が、教育行政に次第に広がっている。そんな流れが感じられてきたからではないか。

 戦後学校教育の原点は「自治」であり、特に学校現場の裁量に期待されるところが大きい。そのことを改めて確認しておきたい。

http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070228k0000m070142000c.html


で、読売新聞

 [「君が代」判決]「『思想・良心』の侵害はなかった」

 君が代のピアノ伴奏を拒んだ教師に対する校長の職務命令に権利侵害はなく、合憲――。最高裁は、そう判断した。

 一連の国旗・国歌訴訟の中で最高裁判決は初めてだ。教育現場の国旗・国歌指導をめぐる混乱に一定の歯止めがかかることが期待される。

 東京・日野市立小学校の音楽教師だった女性が8年前、入学式で君が代のピアノ伴奏を拒み、都教育委員会から懲戒処分(戒告)を受けた。

 「日本のアジア侵略と結びついた君が代は、斉唱も伴奏もできない」。そんな思想・良心の自由が校長の憲法違反の職務命令で侵害された、だから処分を取り消せ、と女性は訴えていた。

 1、2審とも請求は退けられた。

 公務員たる教師には全力で職務遂行に専念する法律上の義務があり、思想・良心の自由も制約を受ける。女性への職務命令は合理的範囲内のもので懲戒処分も適法だ。そんな内容の判決だった。

 最高裁は、まず女性の言う思想・良心の実態を検討し、「君が代についての女性自身の歴史観、世界観、社会生活上の信念だ」と位置づけた。

 その上で伴奏を命じた職務命令について、「女性の歴史観や世界観を否定するものではない」「特定思想を強制したり禁じたり、思想の有無の告白を強制したりするものでもない」とした。

 教師には、公務員として上司の職務命令に従う義務があること、学習指導要領などの法規で国旗・国歌の指導が定められていることなどを考え合わせ、職務命令を合憲とした。妥当な判決だろう。

 国歌斉唱時に起立しない、歌わないなどして処分された教師らが起こした他の訴訟への影響は必至だ。東京で10件など全国で十数件の同種訴訟があり、延べ千人近くの教師らが原告になっている。

 昨年9月、東京地裁で特異な判決が出た。都立高校の入学式などでの国歌斉唱を義務づけた都教育長の通達と校長の職務命令が、教師の思想・良心の自由を侵害し、違憲、違法だと判断した。

 最高裁判決に照らせば、ここでも、教師らの歴史観、世界観を否定し、特定思想を強制するために職務命令が発せられたとは認定されないのではないか。

 問題なのは、一部の教師集団が政治運動として反「国旗・国歌」思想を教育現場に持ち込んできたことだ。国旗・国歌法が制定され、教育関連法にも様々な指導規定が盛り込まれている現在、そうした法規を守るのは当然のことだ。

 卒業・入学式シーズンが近い。児童や生徒たちを厳粛で平穏な式典に臨ませるのも学校、教師の重要な役割である。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070227ig90.htm


さらに日経新聞

妥当な最高裁「君が代」判決(2/28)
 入学式や卒業式などの学校行事で「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱するように命じる教育委員会と、これに従わない教職員の間で多数の訴訟が起きている。教育の場にふさわしくないイデオロギー闘争の感があり、混乱を早く収拾してもらいたい。

 一連の訴訟で初めての最高裁判決の多数意見は、極めて常識的な内容であり、混乱を生じさせた責任がどちらの側にあるかを示している。

 裁判は、思想・良心を理由に入学式での君が代斉唱のピアノ伴奏を拒んで懲戒処分を受けた市立小学校の教諭が原告だ。この種の訴訟の最大の争点は、国旗、国歌の扱い方を強制することが、憲法で保障した思想・良心の自由の侵害になるのか。また強制の職務命令が、最高裁判例で「公務員として従う義務がない職務命令」とされる「重大かつ明白な瑕疵(かし=欠陥)がある場合」に相当するのか、も問題になる。

 判決の多数意見は、思想・良心の自由の侵害にはあたらない、としてこう言う。「入学式で国歌斉唱は広く行われており、そこでピアノ伴奏をしても、特定の思想を外部に表明したことにはならない」「ピアノ伴奏の職務命令は、特定の思想を持つよう強制したりあるいは禁止したり、特定の思想の有無について告白させたりするものではない」

 職務命令の「目的及び内容も不合理とはいえない」とも述べた。

 同種の訴訟で、命令を拒む教職員側の訴えを認めた例に昨年9月の東京地裁判決がある。

 「日の丸、君が代が、国民の間で宗教的、政治的に価値中立的なものと認められるに至っていない現状では、国旗、国歌の強制は思想・良心の自由を侵害する」との趣旨だ。

 なるほど一般国民の日常生活の中では、こうした解釈が成り立つだろうが、争われているのは公務員の職務としての行為だ。最高裁判決の那須弘平裁判長の以下の補足意見が常識にかなうのではないか。「(国歌伴奏などの行為が)『思想・良心の自由』を理由にして、各教師の個人的な裁量に委ねられたのでは、学校教育の均質性や組織としての学校の秩序を維持する上で深刻な問題を引き起こしかねない」


http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070227MS3M2700427022007.html



最後は産経新聞

【主張】君が代伴奏拒否 最高裁判決は当たり前だ

 公立小学校の音楽教諭が、入学式で校長から君が代伴奏の指示を受けたことが、思想・良心の自由を侵害したことになるのかどうか。最高裁第3小法廷は「憲法違反ではない」との初判断を示し、教諭側の敗訴が確定した。

 国旗掲揚、国歌斉唱をめぐっては、拒否した教職員が教育委員会から懲戒処分を受け、処分取り消しを求める訴えが全国で起きている。下級審で判断が分かれているだけに、最高裁の判断がこれら一連の訴訟に大きな影響を及ぼすことは必至だ。

 今回の最高裁判決は、1・2審の判断をほぼ踏襲した極めて常識的なもので、当然の結果であろう。

 女性教諭は平成11年4月、東京都日野市の小学校入学式で校長から、君が代斉唱のピアノ伴奏を指示された。しかし、「校長の職務命令は、思想・良心の自由を侵害する」と憲法違反を主張して伴奏を拒否、結局、君が代斉唱の伴奏は録音テープで行われた。

 このため都教委は、地方公務員法違反(職務命令違反、信用失墜行為)で教諭を戒告処分にした。教諭はこれを不服として、懲戒処分取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こしたのが発端である。

 教諭は、裁判で君が代斉唱でピアノ伴奏しないのは、「歴史観、世界観だ」と主張したが、この点について最高裁は、「直ちに教諭の歴史観ないし世界観それ自体を否定するものではない」とし、「校長の伴奏命令は、思想・良心の自由を定めた憲法19条に反するとはいえない」と結論付けた。

 この音楽教諭の主張は、どうみても理解しがたい。たしかに、思想・良心の自由は憲法で保障されている。教諭といえども、どのような思想を持つかは自由である。

 しかし、女性教諭は市立小学校の音楽教諭というれっきとした地方公務員であることを、全く自覚していない。入学式という学校の決められた行事で君が代を斉唱するさい、ピアノ伴奏をすることは音楽教諭に委ねられた重要な職務行為ではないか。

 校長がピアノ伴奏を命じたのは、職務上当たり前の行為である。これが「憲法違反だ」というのは、あまりにも突飛(とっぴ)で自分勝手な論理である。これでは到底国民の支持も得られまい。
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070228/shc070228000.htm


なんにしろ、白黒ついて良かったです。
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    by oneearth | 2007-02-28 18:56 | 教育
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