1993年秋。当時、地元・静岡の放送局に勤務していた私は休暇を取ってW杯アジア最終予選のうち、韓国戦とイラク戦の2試合の応援のため、カタールの首都ドーハに乗り込みました。出発前に会社のサッカーを知らないディレクターから「わざわざ負け試合を見にカタールまで行くなんて気が知れない」と、冷たく言われましたが、当時はまだサッカー、特にサポーターに対する認識はそのレベルだったのかもしれません。
また、あの頃は今のように中東は行きやすい国ではなかったし、チケットも入手が困難でした。治安を含めた情報も少なく、様々な危険を覚悟しなければいけない部分はありました。それでも、その時は「自分に何が起こってもいい。それよりも異国の地で必死に戦っている選手を応援したい」という気持ちでした。
予想通りというか、予想以上に怖い目にも遭いました。私が宿泊していたホテルには韓国のサポーターも多数宿泊していたので、一触即発の場面が何度かありました。彼らは韓国戦に勝って喜ぶ日本人を怒鳴りつけてきたり、廊下ですれ違う時に肩をぶつけて挑発してきました。挙句の果てには日本人の女性サポーターを韓国のサポーターが部屋に連れ去ってしまったのです。これには、さすがに日本のサポーターたちも事態の重大さに気付き、何人かで拉致された女性を助けに行きました。彼らは拉致に対する罪悪感がまるでないようで、本当に恐ろしく、そして怒りを感じました。
http://www.nikkansports.com/ns/soccer/wcup/2006/qualify/column/afc_final_column_b.html
こういう事件をマスコミが同席しながら、全く報道されないという事実が怖いね。